Sansan Evolution Week 2021 Spring イベントレポート - 「企業と『対面できない顧客』の接客方法 その真髄」

コロナ禍となって以降「非接触」「非対面」「リモート」という“ニューノーマル”が社会に浸透するとともに、デジタル化が一気に進展しています。従来の「訪問」「対面」による営業活動も大きく変容を強いられ、オンライン化という新たなチャネルにシフト。それに加え、デジタルマーケティングの高度化が求められています。そうした状況の中、2021年3月11日の「Sansan Evolution Week2021」において、インキュデータの田中龍がウェビナーを行いました。その概要をお届けします。

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講演者:
インキュデータ株式会社
データビジネスコンサルティング本部
本部長 田中龍

コロナ禍で一気に広がるデジタルマーケティングの可能性

自己紹介の後、田中は「45%」という数字が大きく書かれたパワーポイントの資料を示し「この数字を見て何を思い浮かべますか?」と問いかけました。答えは、20205月時点での対前年比名刺取り込み枚数の減少率。この数字は、コロナ禍で営業活動がそれだけ減少したことを物語っています。

コロナ以前の営業活動では、営業担当者の経験と勘をベースに、顧客と対面して関係構築を行っていく方法が一般的でした。しかし、コロナ禍で対面営業や店頭での接客が避けられるようになりました。

半面、在宅ワークが一挙に進展するなど、結果的にデジタルシフトが進みました。顧客接点も、社会全体としてオンライン上にシフトすることが求められています。

一方、顧客側も、B to Bにおいては営業担当者からの情報提供頻度が減ったことで、顧客自身による情報収集へとシフトしています。B to CにおいてはSNSの活用でよりスピード感が増し、広告に接して即座に購買に移るといった傾向も見られるようになりました。

「こうしたことから、デジタルマーケティングの領域はチャンスに満ち溢れている」と言い切った田中は、さらに続けて「顧客の行動はますますデジタル化・オンライン化し、結果的に顧客の行動データが取得しやすい環境が整いつつある。そうしたデータを蓄積・分析し、どう効果的なアプローチに繋げていくかが今後の検討ポイントだ」と強調します。

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デジタルマーケティングは決して新しい概念ではありませんが、半数ほどの企業は特定の商品・サービスや部門だけで活用する「部分最適」にとどまっているという現状があります。「オウンドメディアを立ち上げたり、Web広告を配信して集客したりすることだけをデジタルマーケティングと捉えている企業も多い」と田中は指摘します。

デジタル上での顧客接点づくりのプロセス ~インキュデータ編

続いて、デジタルマーケティングの取り組みを全社的に広げ、進化させている企業の事例をご紹介し、オンラインでの顧客接点づくりのノウハウを解説しました。

まずは、インキュデータ自らのケースです。

「コロナ以前は、当社もご多分に漏れず敏腕営業マンの勘と経験に頼り切りでした」と田中は打ち明けます。

その後、コロナ禍を機に顧客行動がすべてデジタル化されたことで、意味のある顧客データが取得できる状況が整いました。その結果、データを分析し商談件数をどう増やすかを検討する見込みが立ったというわけです。

次に、その改善プロセスを説明しました。

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インキュデータは201911月に事業をスタートさせました。コロナが蔓延し始めた20202月以降は訪問営業が難しくなり、リアルイベントの開催見送りも重なって新規リード獲得が困難な状況になりました。

「それならばと、ウェビナーやZoomを駆使して商談件数の改善を図りました」

その結果、4月には商談件数が改善されたものの、確度の低い商談が多発し成約件数は大幅に減少。そこで、それまでの商談や成約実績のデータをもとに、顧客の行動分析から自社のソリューションに対する関心度を測って商談を行うべきタイミングや提供すべきコンテンツを精査しました。

「その結果、8月以降は商談件数をキープしつつ成約件数を増やすことに成功し、商談件数をコロナ禍前の2.7倍、成約率を1.8倍に高めることができました」

デジタルマーケティングの具体策と注力ポイント~インキュデータ編

次に、田中はどのようにこの取り組みを進めたかを具体的に説明しました。

「まず、商談件数を改善するために、案件創出フェーズでどれだけオンラインでの接点を新たにつくり、リード化を促進するかに注力しました」

その方法としては、オンラインセミナーやWeb広告で新たなトライを行う、リッチなサイトコンテンツをつくって興味を喚起する、興味を持った顧客にさらに深い情報を提供するダウンロードコンテンツを設ける、といったことです。

もちろん、リードを獲得するだけでは成約率は高まりません。リードの育成(ナーチャリング)と見極めをしっかり行うため、成約したお客さまや興味関心度が高いお客さまがどういう行動の結果、成約や興味関心に至ったかを踏まえ、スコアリングを駆使してリードの可視化を行いました。

「その上で、興味関心度合が高まったリードを営業にトスしたのです。営業は、商談相手がどのコンテンツに触れ、どの領域に興味を持ったのか、さらにどんな提案をすべきで、どういう状況になったら商談を打ち切るべきかといったスコープを持って商談に臨めるようになりました」と成約率向上のファクトを説明します。

重要なのは、営業の勘と経験だけに頼らず、このファクトという裏支えを営業に提供すること。

「ファクトによって自身の仮説が裏支えされることで、より自信をもって臨めるという間接的な効果が期待できるからです」と田中は言います。

この取り組みに際し、設立間もない会社ながら、中長期を見据えてさまざまなツールを導入しました。案件創出フェーズには、アノニマス施策最適化のためにSansan、顧客育成フェーズにおいては当該施策最適化のためにMarketo、営業連携フェーズでは、セールス活動最適化のためにSalesforceなどを選定しました。そして、これらのツールを断面的にではなく統合的に活用すべく、トレジャーデータのCDPを導入し、三つのプロセスを横断する形でデータの統合管理を図りました。

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「こうお話しすると、ツールありきのように聞こえるかもしれませんが、ツールはツールです。ツールをしっかり利活用するため、組織体制と人材育成体制を整備しました」と田中は強調します。

データビジネスコンサルティング本部は50名の陣容ですが、うち10名をツールオペレーションの専任として張りつけたのです。しかし、すべてをやり切れている段階にはなく、認知興味検討購入利用定着というプロセスにおいては「認知~購入」までの状況。

「それだけ工数をかけていますが、契約後のアフターフォローまで確実なオペレーションに落とし込むことが今後の課題です」と田中は言います。

「以上からもわかるとおり、デジタルマーケティングとは『オウンドメディアを立ち上げた』『Web広告を打った』というだけの話ではなく、営業活動の全体を最適化するための手段であることがご理解いただけると思います」

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支援事例~国内大手生命保険のデジタル顧客接点づくり

インキュデータ自身の事例に続き、インキュデータがご支援している事例を二つ、ご紹介しました。

1つ目は、国内大手生命保険会社のケースです。

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従来、生命保険のセールスとして、オフィスに訪問する「職域営業」が中心にありました。しかし、昨今のセキュリティ意識の高まりなどで直接オフィスに入ってのセールス活動が難しくなっています。

一方、ミレニアル世代やZ世代と呼ばれる若年層は、ネットなどで能動的に保険商品の 情報を収集し比較検討しています。このように、営業職員がアプローチできない世代のボリュームが増える中、どう顧客接点を開発するかが課題となっていました。

「そこで、オンラインでの接点を増やし、ナーチャリングを行うシナリオを構築する必要があるとしてインキュデータが加わったプロジェクトがスタートしました。その後、コロナ禍が発生したことを受け、若年層だけでなく全世代に向けての取り組みに発展しました」と説明します。

生命保険は、結婚や出産、定年といったライフイベントを契機に検討されることが多い商材。その瞬間を捉え、最適な情報提供を行うことが期待されました。また、ナーチャリングをしていく上で、そこに最適化したヘルスケアサービスなどの新しい商品設計の検討も俎上に乗りました。

「こうした顧客接点をどう創出するかという視点にデータ利活用の素地があります」と田中は言います。

では、データをどう活用するのか。保険の商談は、比較サイトや相乗り代理店などでの比較検討の上、特定の商品の目処をつけて資料請求を行い、商談に入るといった流れが一般的です。それぞれのプロセスのデータがバラバラに管理されているようでは、個客の理解は難しいでしょう。

「そこで、分断しているプロセスをデータ起点で繋ぐことで、適切な人に適切なタイミングで最適な情報を提供することが必要なのです」

ポイントは、個客のデジタル上の行動を継続的に追って変化の瞬間を捉える“顧客理解の深化”と、どのチャネルでどんな情報を提供するのが最適かを突き詰める“個客コミュニケーション”。

「これらを磨き上げることで、顧客体験を最適化しLTVの最大化を目指すのです」

支援事例~大手不動産開発会社の事業部門・協業パートナー連携

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2つ目は、大手不動産開発会社のケースです。商業施設やオフィスビルといった事業部門ごとに顧客情報がサイロ化し、営業活動の非効率さや協業パートナーとの連携が思わしくないといった課題がありました。これらを解決するために始めたのが、事業部門の垣根を越えた社内のデータ統合、および協業パートナーとのデータ連携によるエンドユーザのLTV向上や新規リード獲得、新規事業への活用を可能とすることへの取り組みです。

最後に、インキュデータは「リード獲得・育成を効果的に実現したい」「顧客を可視化して顧客理解を深めたい」「ニーズに合ったコンテンツを開発したい」「コミュニケーションを最適化して成約率を上げたい」といったお客さまのニーズにお応えできること、さまざまな業種・業態の企業のDXをご支援できることに触れて、田中は本ウェビナーを終えました。

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