株式会社オートバックスセブン ワークショップを通じ全社的な視点を共有
〜オートバックスセブンに浸透する顧客中心のデータ活用〜
カー用品販売で広く知られる「オートバックス」の店舗をはじめ、車検・整備、車買取・販売、海外やディーラーなどの事業を展開する株式会社オートバックスセブン。「出かける楽しさを提案し続ける会社」への進化を目指し、さまざまなコラボレーションによる新事業も積極的に開拓しています。加えてCDP(Customer Data Platform 顧客データ基盤)を導入し、顧客へのよりきめ細かなサービス提供や顧客体験の向上に向け、データの活用を推進しています。データ活用推進のキーパーソンの方々に、その取り組みについてお聞きしました。
Contents
- データ活用により顧客のカーライフをあらゆる角度から支援
- 部門単位の活動から、全社を挙げた顧客中心のデータ活用にシフト
- ワークショップを通じて全社的なコミュニケーション視点を共有
- データ活用の文化が浸透し新たなプロジェクトが続々登場
- 外部データも取り入れ、さらなる顧客サービス強化へ
データ活用により顧客のカーライフをあらゆる角度から支援

株式会社オートバックスセブン
オンラインアライアンス事業開発部長
小畑 康弘 氏
オートバックスセブンは1947年の創業以来、日本国内で約600、海外で約90のオートバックス店舗を展開し、カー用品や自動車関連サービスを提供しています。近年ではインターネットや電気自動車の普及、そして気候変動など、事業環境が大きく変化しています。そこで2019年より策定・更新を行っている「5ヵ年ローリングプラン」では、主力事業に加えて新しい事業領域にも進出し、持続的な成長を目指しています。 顧客ニーズの多様化に対応しながら、カー用品だけでなく「クルマで出かける楽しさ」を提案し続ける企業への進化を遂げつつあります。
同社が進めるさまざまな事業に欠かせないのが、データの活用です。そこで 2019年頃からデータの有効活用に向けた取り組みを開始し、2021年にこれを全社横断型の「データマネジメントセンタープロジェクト」に拡大しました。
「プロジェクトの立ち上げにあたり、ITを活用した新規事業推進を行っているオンラインアライアンス事業開発部とIT戦略部が、プロジェクト推進および事務局を行うことになりまし た。その中で、データ活用基盤の構築が必要という考えに至り、CDP(Customer Data Platform)の導入を検討しました」と、オンラインアライアンス事業開発部 部長の小畑 康弘氏は語ります。
部門単位の活動から、全社を挙げた顧客中心のデータ活用にシフト
データ活用の推進には、以前からいくつかの課題が見えていました。2019年度に全社的に行ったヒアリングから、「顧客」「車両」「商品」「管理会計」など多岐にわたる課題が明らかになりました。そこからまず、事業への影響が大きい「顧客」とその保有する「車両」のデータ活用を最優先とする方針を定めます。
当時についてオンラインアライアンス事業開発部 カスタマーソリューション推進課の岩下 康弘氏は、顧客コミュニケーションが全社最適化されていなかったと振り返ります。 「お客さまに対するアプローチが統合できておらず、例えば誕生日のお祝いメールや割引券が複数の部門から送られるといった状況を変えていく必要がありました」

株式会社オートバックスセブン
オンラインアライアンス事業開発部 カスタマーソリューション推進課
岩下 康弘 氏
同社は2020年末〜2021年初頭、顧客データ基盤の導入について複数社に提案依頼書を送付し、検討の結果インキュデータをパートナーに選びました。選定のポイントについて、IT基盤やデータ戦略を担当する株式会社オートバックスデジタルイニシアチブ グループデジタル推進部の吉田 晋氏は次のように語ります。「店舗の会員情報を基にデータ基盤をゼロから構築するには、膨大な作業が必要です。大量のデータを統合でき、活用においてもパフォーマンスが担保できる製品を希望していました。そうなるとスクラッチで基盤を構築する必要がなく外部連携も容易な『Treasure Data CDP』が最も適しており、トレジャーデータの関連会社として豊富なノウハウや実績を持つインキュデータの提案を採用しました」
また、コンサルティングを含めた業務要件への対応力にも期待したといいます。「社内のプロジェクト推進メンバーの数が足りていなかったこともあり、インキュデータのコンサルタントがデータを活用したマーケティングに求められる要件を理解し、プロジェクトを牽引してくれる点を評価しました」(小畑氏)
ワークショップを通じて 全社的なコミュニケーション視点を共有

株式会社オートバックスデジタルイニシアチブ
グループデジタル推進部
吉田 晋 氏
オートバックスセブンは2021年の8月から全社プロジェクト体制構築を始め、データ活用のためのワークショップや既存データの洗い出し、データ活用人材の育成に取り組んでいきました。小畑氏が全体を統括し、吉田氏はデータ基盤の構築と運用の分科会、岩下氏はデータ活用人材の育成とPoC実施の分科会をリードしました。
全社プロジェクト開始当初は部門ごとの課題の議論になりがちであったため、全社的な顧客コミュニケーション戦略について議論する場として、インキュデータによる支援のもと、ワークショップを開催しました。インキュデータのコンサルタントがファシリテーターを務め、顧客データ活用分科会のワークショップには販売促進、デジタルマーケティング、EC、 車検・サービス、コールセンター、保険など多数の部門メンバーが参加。
これまで店舗中心だった視点を顧客中心に転換し、顧客の人生の各タイミングで発生する、自動車にまつわるイベントや利用シーンといった「カーライフイベント」を想定し、趣味嗜好やライフスタイルもサービスにつなげられないか検討しました。ワークショップの設計からフレームワークやゴールの設定、アウトプットを施策案に落とし込む一連の作業はインキュデータのコンサルタントからサポートを受けて進めました。
「ワークショップを通じて、参加者全員が全社的な視点を持てるようになりました」と小畑氏が語るように、「一人一人の顧客がカーライフで何をしているのか」という、従来の会員情報だけでは見えなかった情報も取得できる新しい仕組みの必要性、新たな事業展開やデータ活用への意識向上につながっていきます。
吉田氏もワークショップを振り返り「オートバックスセブンをデータドリブンな企業にするという未来構想に対する共感がメンバーに広がりました。変革を『自分ごと』ととらえ、能動的に協力し始めた瞬間でした」と語ります。
データ活用の文化が浸透し新たなプロジェクトが続々登場
オートバックスグループでのデータ活用推進には、経営層からの後押しもありました。小畑氏は「その分、相応の成果も求められます。すでに多くのデータ活用プロジェクトが進行しています」と、いくつかの取り組みを挙げています。
まずは販促活動の進化です。以前はDM、チラシ、テレビCM、ラジオなどのマスメディアが主体でしたが、お客様の状況に合わせてさまざまなチャネルを活用する検討を開始しました。スマートフォンアプリやEメールの積極的活用を進めています。
また、新たな取り組みの一つが、店舗とコールセンター間で顧客データを共有するプロジェクトです。コールセンターでも顧客の購買履歴などのデータを活用して他のサービスを提案するなど、業務を変革できる可能性も高まっています。「DMやアプリでは反応が薄いお客さまにコールセンターからアプローチするなど、新しい事業化の可能性も考えています」(岩下氏)
外部データも取り入れさらなる顧客サービス強化へ
岩下氏は、CDPを使ってデータを活用した施策を進めたいという各部門のニーズに応える支援をしています。「CDPによってデータ管理が一元化されましたが、各部門が求める情報を整理するには手作業が発生します。技術的な知識も必要ですので当面は私のほうで支援を行っています。その成果を聞きつけた人たちの口コミによって、データに関する悩みが続々と集まるようになり、データ活用の文化が醸成されています」(岩下氏)
CDPの導入は、IT部門のスキル蓄積にもつながっています。同社はプロジェクト当初から、CDPの保守運用をなるべく自社で行いたいと考えていたため、CDP構築の際には同社の運用保守を担うメンバーが開発段階から参画。CDPの設計や取得データの理解につながりました。「開発の初期段階からインキュデータの開発タスクに当社の開発要員も参加させていただいたことで、システムの理解度が飛躍的に向上し、社内で保守・運用作業が行えるようになりました」(吉田氏)
また、実際にCDPを使用する業務部門のメンバーへも勉強会を開催し、インキュデータが講師となってCDPの基礎から画面操作、施策実行時のデモなどの研修を実施。同社向けの設計をもとにしたテストデータを用いることで、実践を想定した内容で行われました。
プロジェクトでは短期間のうちに多くの検討事項が発生しましたが、伴走したインキュデータについて「困難な状況でも『無理です』とは言わずに、『何としてもやります』という姿勢で 対応してくれて、非常に助けられました」と小畑氏は評価しています。
現在CDPの操作は、IT部門や岩下氏などの専門メンバー中心の運用となっていますが、今後は自動化にも取り組み、活用の領域を広げていく方針です。また、自社データだけでなく外部データとの連携も視野に入れています。「カー用品は天候によって売れる商品の傾向が変わるため、例えば日差しが強いとサンシェードが売れて、雪が降るとタイヤ交換の予約が入ります。外部データとして気象予報などを取り込むことで、お客さまが何を求めているかをより正確に把握できると考えています」(岩下氏)
データ活用が社内に浸透しつつあるオートバックスセブンではさらなる発展を目指し、マーケティングオートメーション(MA)の導入も計画中です。「IT基盤の整備を担う者としては、データマネージメントセンタープロジェクトとして多くの部門と連携していることが非常に有効です。システム構築だけでなく、その有効活用も同時に進められるからです。MAの導入によって多くのメンバーがデータを有効活用できれば、データドリブンな経営がさらに進むと期待しています」 (吉田氏)
今後は、顧客一人一人にパーソナライズした提案を届ける構想もあります。「現在は主にアプリやEメールを用いていますが、将来的にはSNSなど、多様なチャネルでお客さまとの接点を増やしていく計画です」と小畑氏が語るように、より効果的なマーケティングとサービス提供に向けて、オートバックスセブンの取り組みはさらに加速していきます。
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