アドタイ・デイズ2021 Spring イベントレポート - 消費者行動の変化とマーケティングのあり方

コロナ禍による消費者行動の変化とともに、DXの加速もあいまって、顧客接点を再構築すべきタイミングが到来しています。そうした状況の中、2021317日の「アドタイ・デイズ2021 Spring」(主催:株式会社宣伝会議)において、インキュデータの岩見房佳が「消費者行動の変化とマーケティングのあり方」と題してウェビナーを行いました。その概要をお届けいたします。

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講演者:
インキュデータ株式会社
データビジネスコンサルティング本部
データビジネスプロデュース部※
岩見 房佳
 ※所属はイベント当時の情報です

岩見はまず、顧客データ起点でDXを支援するインキュデータについて「データ戦略の構築から運用まで、ワンストップで支援するコンサルティングサービスを提供している」と紹介し、本題に入りました。

本ウェビナーは「顧客接点の再構築の到来」「データ統合前にマーケターが意識すること」「ポストCookie時代への準備」という三つのアジェンダに分けて行いました。

1.顧客接点の再構築の到来

興味関心のない情報はスルーされる

2020年1月頃から、世の中では新型コロナ感染拡大により三密を避けるなどの“ニューノーマル”が広がるとともに、消費行動が大きく変化。高齢者層も盛んにECを利用するなどデジタルシフトが加速しました。必然的に、企業にとってDXは積極的に推進しなければならないものになりました。

「一度体験したデジタルでの最高のUXは、それ以降顧客にとって最低限の期待値となります。例えば、あるチャネルで使えた電子マネーが別のチャネルで使えないといった事態は有り得なくなります。このように、オフラインはオンラインの延長線上と捉え、アフターデジタルな環境を整備していくことが必要になります」と岩見は言います。

もはや顧客とのデジタルなつながりを構築することは不可欠で、データから顧客をとらえる必要が生じているのです。「つまり、消費者行動の変化に伴って、顧客接点を再構築すべきタイミングが到来しているといえます」と言います。

一方、顧客の体験はどう変化しているのか。今までは、情報は自分で取りに行くものでした。しかし、スマートフォンが普及し、さまざまなアプリが浸透している今となっては、情報は手元に自然に流れてくるものになっています。「情報は膨大となり、自分にとって興味関心のないものはスルーされるでしょう」と指摘します。では、企業はどのように顧客に情報を届ければいいのでしょうか。

データから顧客を理解する必要性

「そこで重要になるのは、データから顧客を理解することです」と岩見は強調します。

従来のマーケティングは、顧客の性別や年齢などをもとに行われていました。また、家族構成や趣味嗜好のデータを持っていても、それらのデータを統合できていないので顧客を断片的にしか把握できていなかったといえます。

「今後は、(居住地や住まい、役職、年収など)さまざまな属性を顧客から預かり、特性やニーズを多面的に捉えて顧客の解像度を鮮明にした上でアプローチを行うことが必要」と説明し、こうしたデータを収集し、統合・分析・セグメンテーションを経て施策への連携が行えるCDP(Customer Data Platform)について触れました。

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これらのデータをもとにした顧客へのアプローチは、商品・サービスの購入時点だけでなく、購入前から購入後に至るまで、オンライン・オフラインを問わず顧客の購買行動における一連のプロセスでつながる必要があります。「顧客のデータを預かり、顧客との時間を共有し、顧客を理解し、適切な情報をタイムリーに届けて顧客に行動を提案することが求められます」と言います。

2.データ統合前にマーケターが意識すること

“顧客満足度”と“デジタル活用度”のバランスを

まず、「データマーケティングやDXのプロジェクトが陥りがちなパターンが二つあります」と岩見は指摘します。一つは、現状からデジタルによる新たな価値創造という飛び地に一足飛びに向かうような検討を行ってしまい、既存ビジネスとのシナジーが得られずに頓挫してしまうこと。もう一つは、テクノロジー単体への投資に留まるがゆえに、部分的な業務効率化は図れても何か大きな示唆を得るには至らないというものです。

「うまく進めていくためには、アナログな現状からデジタル変換し、顧客データを取得して顧客理解に基づく購買体験を提供し、デジタルによる新たな価値を創造するといった“顧客満足度”と“デジタル活用度”の両軸のバランスを取って進めていく必要があるのです」と説明します。

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データによる顧客へのアプローチは、継続的な行動や変化を捉える個客理解の深化と、マルチチャネルおよび適切なタイミングでアプローチする個客コミュニケーションにより、購入前から購入後に至るプロセスを点から線へとつないでいくイメージ。「つまり、顧客とプロセスを共有し、信頼関係を構築することで、ロイヤリティやLTVの最大化を図る。この繰り返しで得られるデータをもとに新たな示唆を見つけ、新たな価値創造につなげていくことが重要です」と言います。

こうしたデータの統合・活用により、広告配信の最適化や購入見込み度の高い顧客の選別による商談化率の向上、解約兆候のある顧客に対するリテンションといった施策を打つことができるようになります。

しかし、それらデータ環境構築・運用フェーズの前に、構想策定フェーズにおける“コミュニケーション戦略策定”と“データ環境整備”が必要です。

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「データで顧客を理解する、とお話ししたが、そのデータとはどういったもので、どこからもたらされるものかを理解しているマーケターは意外に少ないのではないでしょうか」と指摘します。そこで、ここでは構想策定フェーズにフォーカスして説明しました。

コミュニケーション戦略の全体像の策定

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まず、コミュニケーション戦略の全体像を策定するにあたり、はじめにデータを統合して何をしたいのかのゴール(顧客へ提供するビジョン)設定を行います。

次に、目指すべき姿を描き、現状とのギャップを洗い出します。このギャップを埋めることが、目指すべき姿の実現につながるわけです。そして、その具体策を検討し、スケジュールに落として実行計画を作成、アクションプランを策定します。

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顧客体験(カスタマージャーニー)のシナリオも設計します。購入前、購入時、購入後にわたる顧客の行動や要望・不満点、価値提供、ならびに取得すべきデータを忘れずに検討します。

ここでのポイントは二つ。一つ目は、当該作業はマーケターだけで行うのではなく、営業やIT、カスタマーサポートなど多くの部門を巻き込むこと。「アイデアが広がるとともに、後続フェーズにおけるデータ収集時に部門をまたいで動きやすくなります」と岩見は理由を述べます。もう1つは、マーケター(ビジネス)視点でのカスタマージャーニーのイメージと、エンジニア視点でのシステムとしてのアウトプットイメージをつくること。「それで、現状欠けているものが可視化できるのです」と続けます。

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アクションプランの策定としては、購買プロセスごとに取り組みの方向性、今後の検討事項を整理します。例えば、購入前においてはポストCookie時代を見据えた個人情報管理への取り組みをテーマに、顧客登録情報の簡易化、個人情報の利用方法の提示、レピュテーションリスク回避について検討を行い、ソーシャルログインや同意管理プラットフォームの導入を今後の検討事項とする、といったことです。

実行計画の作成においては、検討事項ごとに実行のしやすさそこから得られる効果は異なるもの。岩見は「この二つを軸に検討事項をプロットし、実行しやすく、かつ効果の高い項目から優先的に着手するとよいでしょう」と言います。

データ環境整備の四ステップ

次に、データ環境整備について。図のように四つのステップがあり、それぞれビジネス(マーケター)主導で行うものと、エンジニア主導で行うもの、両者で行うものに分かれます。「データマーケティングはマーケターだけで全てをまかなうことは難しいので、エンジニアやインキュデータのような外部の力を活用していただきたい」と岩見は呼びかけます。

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1つ目のデータ要件定義では、まずデータの棚卸しを行います。「重要なのは、データはどこから取得するか、そのデータはどんなIDを持っているのか、データをつなげるIDは何かを正確に把握すること」と注意喚起します。

2つ目のデータ取得設計においては、棚卸したデータを取得するパターンを検討します。データは、外部から書き込む場合と、CDPから取りにいく場合があります。各データの更新頻度や、データソース側のテーブル定義書から取得する項目も検討します。

3つ目のデータ加工設計では、ローデータを取り込む「Layer0」、一次集計を行う「Layer1」、データを統合する「Layer2」と処理内容によってレイヤー化することで、初期構築・運用の最適化を図り、トラブルシューティングの効率化を実現させます。

4つ目のアウトプット連携では、*BIにおいてはマーケターが可視化する軸を検討しエンジニアが実装します。セグメンテーションにおいては、マーケターが属性や行動データからセグメント条件を定義しエンジニアが実装。*MAにおいては、シナリオの元となるデータ作成までCDPで行い、その後の細かい配信条件設定はMAツール側で行うようにします。

このようにして構想を策定したら、後続の環境構築フェーズ、次の運用フェーズ(データ利活用・施策連携)に向かいます。


* BI(Business Intelligence):企業などの組織のデータを、収集・蓄積・分析・報告することにより、経営上などの意思決定に役立てる手法や技術

* MA(Marketing Automation):マーケティング活動を可視化・自動化する手法や技術)

3.ポストCookie時代への準備

3rdパーティCookieに代わるテクノロジーの活用へ

インターネットユーザーのプライバシー保護意識の高まりを受け、2022年から「Safari」や「Chrome」などで3rdパーティCookieが使用できなくなるポストCookie時代を迎えます。GDPRや個人情報保護法が改正され、データ活用におけるプライバシー保護がより重視されるようになるのです。

従来の3rdパーティCookieによるターゲティングは、今後は自社で収集している1stパーティデータの把握・活用に向かいます。3rdパーティCookieを使ったサイトを跨いだアトリビューション計測は、顧客との信頼関係を築くための透明性ベネフィットの提示へ、そして3rdパーティCookieを使ったパブリック・プライベートDMPの利用は、3rdパーティCookieに代わるさまざまなテクノロジー活用にシフトされることになります。

「そこで、インキュデータでは新たに二つのサービスをリリースした」と、岩見はインキュデータのソーシャルログイン活用ソリューション「Loghy(ロギー)」と、同意管理プラットフォームの「Qonsent(コンセント)」を紹介しました。

Loghy」は、顧客が活用しているSNSGoogle登録のアカウントと連携することで、ユーザの入力の手間を軽減するツール。

Qonsent」は、Cookie利用におけるプライバシー設定をユーザに登録してもらい、OKしてもらった項目におけるアプローチを可能にするユーザファーストの同意管理プラットフォームです。

「CDPと合わせ、三つのサービス連携で顧客データの有効活用に役立てていただきたい」と岩見は話して本ウェビナーを終えました。

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