INCUDATA Magazine_000320_ビジネスを変えるデータ活用とは? - データがもたらす利益や成功事例を解説

ビジネスを変えるデータ活用とは? - データがもたらす利益や成功事例を解説 -

目次

企業はオンライン・オフラインのさまざまなチャネルから、日々多くのデータを取得しています。そもそもデータ活用とは何か、データ活用はビジネスにどのように影響するのかを理解したい、あるいはデータの蓄積はあるものの活用できていないと感じている方もいるのではないでしょうか。

データ活用の価値や有効性、成功事例を知ることで、データ活用を成功させるイメージが明確化できます。データ分析や人材確保の課題もクリアし、データドリブンなビジネススタイルにシフトしましょう。そこでこの記事では、データ活用がもたらす利益や成功事例、成功のためのポイントについてご紹介します。

これからのビジネスに不可欠なデータ活用とは何か

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企業が収集するデータは多種多様で、データ活用の方向性も企業によって異なります。まず理解しておきたいのは、課題解決につながるデータ活用とは何か、データ活用はどこから始めるべきかということです。ここでは、データ活用とは何かを統計情報やデータ種別の例を交えて解説します。

マーケティングデータから利益を生むデータ活用を

総務省が2020年に発表した統計情報によると、2015年に比べて「eコマースにおける販売記録」「POSデータ」「アクセスログ」をデータ分析に活用する企業が顕著に増えています。企業規模別でみると、大企業・中小企業ともに「顧客データ」「電子メール」「アクセスログ」をデータ分析に活用する企業が多く、消費者の行動データが重要度を増している状況です。

また、多くの企業は「経営企画・組織改革」「製品・サービスの企画・開発」「マーケティング」といった領域にデータを活用しています。企業は多種多様なチャネルからデータを収集していますが、まずはマーケティングデータにフォーカスするのがデータ活用の第一歩といえるでしょう。

ビジネスで取得する主なデータ種別

ビジネスでデジタル技術を活用している限り、企業はデータ活用を意識していなくても日々大量のデータを自然に取得しています。主なデータの種類は以下の通りです。

    • ライフログデータ: Webサイトやブログなどのアクセスログや行動履歴、動画の視聴ログなどのデータ
    • 販売管理データ: POSECサイト、注文実積などのデータ
    • 顧客とのコミュニケーション: 電子メール、CTIシステム、通話内容などのデータ
    • 業務データ: 顧客・経理・業務日報などのデータ

活用率の高いデータは顧客データや電子メール、アクセスログで、業務領域別では経営企画・組織改革、製品・サービスの企画・開発、マーケティングで多く活用されています。また、いずれかの領域でデータを活用している企業は大企業で約9割、中小企業でも半数を超えています。

部門別の取得データの例

部門によっても取得データは異なり、有益な情報がサイロ化して部門間の連携やマーケティング施策への反映につながっていないケースも珍しくありません。部門別の取得データの例は以下の通りです。

    • 営業部門: 顧客の属性や商談履歴、商品別やエリア別の売上などのデータ
    • マーケティング部門: セミナーの参加者に関するデータや広告効果など
    • カスタマーサポート部門: 問い合わせ内容の種類・数や対応時間、クレーム件数など

例えば営業部門・マーケティング部門・カスタマーサポート部門は、それぞれのチャネルから異なる性質の顧客データを取得しています。これらを統合し、適切に集計・分析することで、課題解決につながるデータ活用が可能です。

データ活用のプロセス「PPDACサイクル」

マーケティングデータからビジネスに有益な知見を得るには、適切なフレームワークでデータを精査する必要があります。データ活用によく利用されるフレームワークは「PPDACサイクル」です。PPDACサイクルは以下のプロセスで構成され、一度のPPDACサイクルで検討が不十分であれば繰り返し行います。

    • Problem(課題の特定): ビジネス課題を把握し、課題解決のために目標を設定する。KGI(重要目標達成指標)などの具体的な数値目標を設定
    • Plan(プロジェクトの定義): 前プロセスで設定した指標を達成するために、必要なデータの特定やデータ収集の方法など、データ分析プロジェクトの計画を立てる
    • Data(データ収集): 関係各所から必要なデータを収集し、データのフォーマット統一や不足データのチェックをする
    • Analysis(分析): データ分析により問題点や原因を究明する。データの要約や傾向の把握から、施策のための知見を探索
    • Conclusion(結果の導出): 分析レポートを作成し、改善点を見つけて施策を検討する

ビジネスシーンを変えるデータ活用事例

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企業が抱える課題は多彩で、課題解決のためのデータ活用も同じだけ多彩です。データ活用がビジネスにどのような影響を与えるのかは、成功事例から学ぶのが近道といえるでしょう。ここでは、マーケティング、オペレーション効率化、サービス開発の三領域における成功事例を解説します。

マーケティングにデータを活用した事例

Jリーグに関するデジタルコンテンツや中継映像制作を担うJリーグデジタルは、JリーグIDによる顧客データを活用し、複数のツールを組み合わせたデジタルマーケティングを実施しています。

課題は各クラブの集客増加やスタジアムに継続して来場してもらうこと、つまり新規顧客の獲得とファン(リピーター)の育成です。そこで顧客のセグメントに合った施策を打ち、来場回数に合わせて段階的なアプローチを実施しました。この取り組みにより入場者数は四年連続で増加し、節平均での入場者数最高記録も更新しました。

オペレーション効率化にデータを活用した事例

都市ガス事業者大手の東京ガスは、事業間の相乗効果による顧客に提供する付加価値の拡大、災害復旧の効率化を課題としていました。そこで顧客データや商品データを活用するCRM基盤を構築しました。

これにより、次なる打ち手の検討から実行へのPDCAサイクルの高速化・短縮化を実現しました。さらに、スマホ・タブレットで作業進捗を把握できる災害復旧支援システムを開発し、効率的な災害復旧にもつなげています。

商品・サービス開発にデータを活用した事例

ブランドバッグのサブスクリプションサービスを提供するラクサス・テクノロジーズは、サービスの開発・改善や効率的な経営にデータを活用しています。

「バッグが多過ぎて好みに合ったものを探せない」という課題を解決するために、スマホアプリや独自開発のAIを活用して顧客情報を収集・分析する仕組みを構築。貸出率は低くとも長く使われるバッグを優先的に仕入れ、レコメンドするなどの施策に活かし、サービス継続利用率95%という驚異的な成果を達成しています。

ビジネスにおけるデータ活用の三領域

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データ活用には「既存ビジネスの売上向上」と「新たなマネタイズ機会の創出」という2つの方向性があります。さらにそれぞれの方向性を大別すると、ビジネスにおけるデータ活用は主に三領域です。

    • マーケティング
    • オペレーション効率化
    • 商品・サービス開発

ここでは、それぞれのデータ活用領域を解説します。

マーケティング

既存ビジネスの売上向上を目的としたデータ活用の代表的な領域はマーケティングです。収集したデータを適切に処理すればデータドリブンなマーケティングにつなげられます。

マーケティング活動に関するさまざまなデータを総合的に分析して可視化することで、眠っていた情報から経験や勘に頼らずにビジネス知見を導出でき、合理的なマーケティング施策の立案・実施が可能です。例えばCDPCustomer Data Platform: 顧客管理基盤)でデータを統合・分析することにより、MAツールやターゲティング広告を有効活用できます。

オペレーションの効率化

マーケティング以外でも既存ビジネスでの売上向上を目的としたデータ活用は考えられます。経営・財務・営業・人事といったマーケティング以外の分野でも、十分なデータ収集と詳細なデータ分析をすることで、未来予測や意思決定の補助とオペレーションの効率化が可能です。

このタイプのデータ分析にはBI(ビジネスインテリジェンス)ツールがよく利用されます。自社内の大規模データを部門横断的かつ自動的に分析するのに役立つツールですが、ベンダーによっては他社の情報を蓄積・提供しており、同業種・同エリアなどの他社と関連付けた分析・予測も可能です。

商品やサービスの開発

新たなマネタイズ機会の創出を目的としたデータ活用の代表的な領域は新規商品・サービスの開発です。自社で蓄積した大規模データ、さらには他社の情報も活用し、新規商品・サービスを開発します。

例えば自社の購買データや問い合わせ履歴をベースとして、競合商品の人気・課題なども関連付けて顧客ニーズを詳細に分析することで、「いま売れる商品」のリリースが可能です。このタイプのデータ活用により、AIIoT機器を組み合わせた斬新なサービスを生み出している企業も珍しくありません。

データ活用を行うための三つのポイント

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データ活用を成功させるには以下三つのポイントを押さえることが大切です。

    • データ活用の重要性を理解する
    • データ収集や分析の環境を整える
    • 適切な人材を確保する

これらはデータ活用における根本的な課題ともいえます。三つの課題をクリアし、データ活用がスムーズに行える環境を手に入れましょう。

データ活用の重要性を理解する

データ活用は全社一丸となって取り組むことで大きな効果を発揮し得ます。さまざまなチャネルから取得したデータを集積・統合・分析するとき、データ活用の価値や目的・ビジョンが全社で共有されていなければ、クリティカルな課題解説につながりません。そこで重要なのは、経営層から各部門の一般社員まで、データ活用がいかに重要であるかを理解することです。

データ収集・分析環境を整える

大量のデータを収集しても不要なデータが多かったり、正しく引き出せない状態であったりすると、スムーズな活用は困難です。どの種類のデータをどのように収集・集計するかなど、データ活用のための環境整備も求められます。ここで大きな効果を発揮するのがCDPです。

CDPは顧客データの収集・統合・分析ができるツールですが、ツールによってはアクセスログなどのオンラインデータだけでなく、実店舗やアンケート調査などで取得したオフラインデータのアップロードにも対応します。マーケティングツールとの連携もできるので、分析結果をターゲティングメールの配信などへシームレスに反映可能です。

適切な人材を確保する

効果的なデータ活用にはデータ収集と分析、分析結果から施策を導出し実行するというプロセスで取り組むことが必要です。それぞれのプロセスにはデータ活用を理解した担当者を要し、求められる知識・スキルは各担当プロセスで異なります。

しかしデータ活用に長けた人材は希少で、人材確保の難しさはネックです。そこでデータ活用に豊富な知見と実績のある、信頼できるパートナー企業との連携が効果を発揮します。

データ活用への取り組みでビジネスを制する

企業は日々多くのデータを収集していますが、データからビジネスに有益な知見を見いだせないばかりか、円滑な情報共有にすら課題を抱えているケースも珍しくありません。

データ活用の仕組みを整えれば、情報共有の円滑化による業務効率化はもちろん、新規サービスの開発による売上向上にもつなげられます。データは宝の山、データを制する者がビジネスを制すると考え、データ活用に取り組むことが大切です。

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