なぜ必要!?「インサイドセールス」 - コロナ禍で一層ニーズを増すセールス組織のメリットを知る

今日、B to Bビジネス(企業向けのビジネス)を展開する企業の間で「インサイドセールス」と呼ばれるセールス組織への関心が高まっています。インサイドセールスとはどのような役割を担う組織なのでしょうか。また、この組織を有効に機能させるには何をどうすべきなのでしょうか。疑問を解き明かします。

インサイドセールスとは?

インサイドセールスとは「内勤(インサイド)」の「営業担当者(セールス)」という意味で、フィールドセールスの担当者のように、見込み客のもとを訪れて製品・サービスを売り込むといった外回りの営業活動は行わず、組織内 から電話などを通じて見込み客にアプローチします。

インサイドセールスは、その役割もフィールドセールスとは大きく異なります。

フィールドセールスの主たる役割は、見込み客に営業をかけて商談を成立させることです。それに対してインサイドセールスは、マーケティング施策によって取得した見込み客のデータ(リード情報)を参照しながら「プリセールス」を展開し、商談の機会を創出して(=商談のアポイントメントを取りつけて)、フィールドセールスに繋げます。つまり、リード(見込み客リスト)の創出とナーチャリング(育成)といったマーケティング活動と、のちのセールス活動とをスムーズにつなげる役割を担うのがインサイドセールスです。その役割は「リードクオリフィケーション(=リードに磨きをかけること)」とも呼ばれています。

インサイドセールスでどう変わる!?顧客獲得のプロセス

本稿の導入文でも触れている通り、インサイドセールスはB to Bビジネスを展開している企業の間で設置が活発化しています。理由の一つは、インサイドセールスの設置によって新規顧客獲得のプロセスが大きく効率化される可能性があるためです。

例えば、以下はマーケティング部門と営業部門の連携による新規顧客獲得の典型的なプロセスです。

①リードジェネレーション:マーケティング部門がイベントやオンライン広告などによって見込み客のリストを収集・獲得する

②リードナーチャリング:マーケティング部門が獲得したリードに対して育成(ナーチャリング)の施策を展開し、有望見込み客(ホットリ-ド)を洗い出し、営業部門に渡す

③セールス:営業部門のフィールドセールスがホットリードのリストに対して営業をかけ、商談を成立させる

インサイドセールスを設置すると、ナーチャリングとセールスのプロセスの間にリードクオリフィケーションというプロセスが追加されることになります(図1)。

図1:インサイドセールスの役割の位置づけ

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ホットリードのリストに対してインサイドセールスがコンタクトをとり、見込み客のニーズの深堀を行ったり、商談機会を獲得したりといった作業が行われます。これによって、のちのフィールドセールスが効率化され、新顧客獲得に向けた営業の精度も向上させることが可能になります。

フィールドセールスの担当者は、それぞれが担当するアカウント(ターゲット顧客)への対応に追われ、マーケティング部門から渡されたリードに対して即座に営業のアクションが取られない場合が多く、マーケティング部門が引き渡したリードが営業部門で使われずに終わることさえあります。

それに対して、インサイドセールスはリードに対してアクションをとることが本業であり、見込み客のリストに対してタイムリーに営業をかけることができます。結果として、見込み客の関心が他社の製品・サービスに移ってしまうリスクも低減できることになります。

しかも、インサイドセールスは「非接触型」の活動です。そのため、新型コロナウイルス感染症の流行のようなパンデミックの影響下でも、見込み客にアプローチすることができます。また、コロナ禍が終息したのちも、安全性と効率性の両面が重視され、人との直接的な接触を極力避ける営業スタイルが市場に定着していく可能性があります。そうなれば、非接触型のインサイドセールスの重要性がさらに増していくはずです。

インサイドセールス設置の効果を最大化するために

以上のようにインサイドセールスの設置にはさまざまな効果が期待できますが、その設置は新たな組織を増やすことと同義です。したがって、マーケティング、ないしは営業のコストは必ずアップすることになり、投資に見合うだけの効果を得られるようにすること──言い換えれば、インサイドセールスで成果を上げるようにすることが大切になります。

では、インサイドセールスで成果を上げるには、何をどうすればよいのでしょうか。以下にいくつかのポイントをご紹介いたします。

ポイント①セールス習熟度の高い担当者をアサインする

前述したとおり、インサイドセールスは見込み客のデータを参考にしながら、相手のニーズや課題を深掘りし、それを自社の製品・サービスへの興味・関心に繋げて商談機会を創出する活動です。これは簡単な作業ではなく、その成功には自社の商品・サービスに対する深い知識と高い営業センス、スキルが要求されます。そのため、インサイドセールスには可能なかぎり、セールス成熟度の高い担当者をアサインする必要があります。

ポイント②リード引き渡しの基準を明確にする

ここでいう「リード引き渡しの基準」とは、どのような品質に達したリードをインサイドセールスからフィールドセールスに引き渡すかという「リードクオリフィケーションの基準」を指しています。この基準が明確に示され、それに対してインサイドセールスとフィールドセールスの間で合意が形成されていないと、インサイドセールスは自分たちが成すべきことが不明確になり、一方のフィールドセールスも、引き渡されたリードについて「それがなぜ、自分たちに引き渡されたのか」の理由が正確につかめず、当該リードにどう対応すべきかの判断が鈍ることになります。

また、リード品質の基準の曖昧さによってフィールドセールスの営業効率が落ちてしまうリスクもあります。

例えば、インサイドセールスが見込み客とのミーティングのアポイントをとったとしても、その見込み客の製品・サービスの導入意欲にはバラつきあるのが通常です。このとき、リード品質の基準が曖昧であると「アポがとれた」という理由だけでリードがフィールドセールスに引き渡されることが増えていきます。結果として、商談成立の確度の低い見込み客にもフィールドセールスが対応を迫られるケースが増え、営業効率が落ちてしまう可能性が大きくなります。

そのようなリスクを回避するためには、インサイドセールスからフィールドセールスにリードを引き渡す際の「見込み客の導入意欲の基準」や「見込み客がその基準を満たしていることを何によって裏付けるか」といったことを明確にしておくことが大切です。

もちろん、事業形態や扱う製品・サービスによっては、インサイドセールスによってアポのとれた見込み客に対して漏らさずフィールドセールスをかけたほうが効率的な場合があるかもしれません。ただし、その場合でも「インサイドセールスによってアポがとれたリードは漏らさすフィールドセールスにつなぐ」という基準を設けて明確にしておくことが重要といえます。

ポイント③ベストプラクティスを共有する

前述したとおり、インサイドセールスの難度は高く、セールス習熟度の高い担当者をアサインすることは成果を上げるポイントの一つです。ただし、インサイドセールス全員のスキルを高いレベルで均一化するのも高難度の取り組みです。そこで大切なのが、ベストプラクティスやセールスノウハウの共有化です。具体的には、インサイドセールスの成功事例を見込み客の産業別や(見込み客に売り込む製品・サービスの)用途別に整理・共有化したり、見込み客の指摘に対する有効なカウンタートークをパターン化・蓄積・共有したりします。これによって、インサイドセールスの成功の再現性を高めて、成功確率を組織全体で底上げすることが可能になります。また、見込み客に対する有効な販促メールをテンプレート化し、共有するのも、顧客とのコミュニケーションの品質を高いレベルで均一化し、かつ、業務効率を上げるという点で有効な手立てといえます。

ポイント④インサイドセールスを情報武装化する

見込み客に関する十分なデータによって、インサイドセールスを情報武装化することも大切です。具体的には、見込み客が自社のサイトのどのページをよく閲覧しているのかをはじめ、自社のセミナーや展示会ブースへの来訪履歴、自社の資料のダウンロード履歴、さらには過去における自社との取引履歴など、見込み客の状況やニーズを把握する上で有効かつ可能な限り多くの、そして直近のデータを整理してインサイドセールスに提供することが重要です。これにより、インサイドセールスは見込み客への理解を深めて、セールストークの適切性や精度を高めることが可能になります。

ポイント⑤データの連携によって継続的な改善を図る

もう一つ、インサイドセールスの有効性を高める上で必要なのは、組織を跨いだデータの連携です。

例えば、インサイドセールスの結果やフィードバックをもとにリードのホット度判定(リードスコアリング)のあり方やナーチャリングの施策・コンテンツ設計、リード情報のあり方など、マーケティング施策を継続的に改善します。これにより、インサイドセールスの効率性と有効性をともに高めることが可能になります。同様に、フィールドセールスの結果をインサイドセールスやマーケティングの改善に役立てていくことも大切です。

このように考えていくと、マーケティングとインサイドセールス、そしてセールスのデータを「顧客軸・会社軸」で統合し、すべての施策を横断的に即時共有できるようにしていくことが重要であるとの結論にも至るはずです(図2)。インサイドセールスの設置は、見込み客の「データ」を起点に顧客獲得の効率性を“科学的”に高めていくソリューションです。その成功にはデータ活用の基盤をしっかりと整えておくことが不可避といえます。

図2:マーケティング、インサイドセールス、セールスのデータ統合のイメージ

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