DX推進を成功に導くポイントを解説!課題や成功事例も併せて紹介 -
スマートフォンによる顧客接点のオンライン化や慢性的な人手不足といった社会課題に直面する現在。企業が生き残りをかけて安定成長を遂げるためには、既存の業務プロセスやビジネスモデルそのものを変革する「DX推進」が不可避となっています。
ただ、いざDXを進めようとしても「何から始めればいいかわからない」「現場の反発に遭って進まない」といった理由で頓挫してしまうケースは少なくありません。DXを成功に導くには、陥りがちな失敗パターンを避け、正しいプロセスを踏むことが不可欠です。
そこでこの記事では、これからDXを本格化させる担当者に向けて、失敗しないための推進ステップ、現場でよく発生する課題とその対処法、そして自社のヒントになる成功事例を分かりやすく解説します。
DX推進がなぜ求められている?
DX推進が求められている理由は、スマートフォンの普及や新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、ユーザ行動や社会情勢、ビジネスモデルなどが大きく変化しているからです。この変化には、既存のビジネスモデルにおける成功パターンでは対応しきれないため、活路をDXに見出している企業が多いのです。
ただ、DXの重要性が多くの場面で叫ばれているものの、実際にDX推進に取り組んで成功している企業は限られています。また、DX推進においては、経済産業省の「DXレポート」で提唱されている「2025年の崖」も無視できません。これは、2025年までに日本企業はDXを推進しなければ、2025年から年間最大12兆円の経済的損失を被る恐れがあることを示した概念です。その原因は、既存システムの老朽化や、その更新の遅れにあります。
日本政府もこの状況に危機感を抱いており、DXの進め方や進捗に関する評価基準を定めた「DX推進ガイドライン」を設定しました(現在は、デジタルガバナンス・コード2.0に統合)。ここでは、DX推進にて経営者が押さえるべき事項や取り組みの明確化を目的とし、経営のあり方やITシステム構築について解説しています。
- 出典:DXレポート ~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~| 経済産業省 https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_03.pdf
- 出典:デジタルガバナンス・コード2.0 | 経済産業省 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc2.pdf
DX推進を成功させるポイント

ここでは、DX推進を成功させるポイントについて、以下の7つを解説します。
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- 目的・ビジョンの設定
- 経営層のコミット
- DX戦略立案
- 顧客体験シナリオ策定
- 業務ワークフローのデジタル化
- より深い顧客体験の提供
- 継続的な見直し
表1. DX推進を成功させるポイント
| ステップ | 具体的な取り組み内容 |
|---|---|
| 戦略とビジョン | 目的・ビジョンの設定:提供価値を明確化する。 経営層のコミット:リーダーシップを発揮し、予算や人員の最適化を行う。 DX戦略立案:ロードマップを含む具体的計画を策定する。 |
| 実行と構築 | 顧客体験シナリオ策定:理想と現状の差を明確にする。 業務のデジタル化:一貫性のあるIT基盤を構築し、フローを最適化する。 深い体験の提供:デジタル技術で顧客満足度を向上させる。 |
| 継続的改善 | 継続的な見直し:市場環境の変化に適応し、施策やツールを常に更新・最適化し続ける。 |
それでは、1つずつ解説していきます。
目的・ビジョンの設定
DXを推進する前に、「企業がユーザにどのような価値を提供するか」など目的・ビジョンを設定しましょう。これを起点に、具体的に「DXでどうビジネスモデルや組織を変革するか」、あるいは「どのように競争優位性を確保するか」、明らかにできます。反対に、明確な目的・ビジョンを設定しないままDXを推進しても、テクノロジー導入自体が目的となり、DXの効果を発揮できません。
経営層のコミット
DX推進は、ビジネスモデルや企業組織の変革を起こすため、取り組む際には経営層から承認を得ることが必須です。また、DXの過程で既存事業所縮小や人員の配置転換、さらには部署ごとの利害対立が生じることも珍しくありません。それでもDX推進を実現するには、経営層も積極的にDX推進にコミットする姿勢が欠かせません。
人員配置転換や予算確保、さらには部署同士の利害対立が起こった際の経営判断など、経営層がDX推進に向けリーダーシップを発揮しなければならないことは多数あります。
DX戦略立案
目標やビジョンと、会社の現状や課題に基づき、DX推進のための具体的戦略を立案しましょう。この段階で、ロードマップなどの時間軸を織り込んだ具体的計画を立案することがポイントです。
また、適宜経営層にもDX戦略立案の過程に参加してもらえば、DX推進の目的や進め方のイメージを経営層にも共有できます。
顧客体験シナリオ策定
DX戦略に基づき、理想の顧客体験シナリオを設計します。その際には、マーケティングや営業など、様々な関係部署から知見を得て、アイデアを共有しながらすすめることがおすすめです。
理想の顧客体験シナリオを設計したら、現状の顧客体験シナリオと比較してみましょう。シナリオ比較により、現状不足している部分や課題が明確になるはずです。ここから、理想の顧客体験を提供するためにどのような取り組みを行えば良いか整理し、実現性や業務へのインパクトなどから具体的なアクションプランを立案しましょう。
業務ワークフローのデジタル化
単にアナログをデジタルに置き換えるのではなく、DXで提供したい価値をユーザに届けるべく、ITを活用して業務フローを最適化しましょう。DXの目的やビジョンに基づき、優先順位付けした上で業務のデジタル化を進めるのです。その際には、以下のポイントに留意するとよいでしょう。
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- DX戦略実現のため、一貫性があるIT基盤を構築する
- データの取得、分析において、IT基盤の戦略的な活用を促進する
- データからユーザ状況やニーズを把握できる仕組みを構築する
- データから得られた知見に基づき意思決定する文化を形成する
より深い顧客体験の提供
顧客満足向上を図るため、データやデジタル技術を用いてより深い顧客体験の提供や、マーケティング分野のデジタライゼーションを行いましょう。既存事業をデジタル技術で強化し、顧客満足度向上や新たな事業領域の開拓にも挑戦することで、事業の安定的成長につなげるのです。
継続的な見直し
ここまでの施策を実施していく過程で、初期の目的が達成されても、永続的に成功するとは限りません。データを活用する文化・仕組みを足がかりに、市場や社会環境の変化に適応できるよう施策の継続的な見直し・更新を行っていきましょう。また、必要に応じて新たなテクノロジーやツールを取り入れ、より強固な企業基盤確立につなげましょう。
DX推進に向けたシステム上の課題
ここでは、DX推進に向けた課題について、以下の2つを解説します。
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- 既存システムのブラックボックス化
- ベンダへの過度な依存
表2. DX推進に向けたシステム上の課題
| 課題項目 | 詳細とリスク |
|---|---|
| システムのブラックボックス化 | 各部署でのシステム乱立や老朽化により、構造が不透明に。現状把握が困難になり、刷新の大きな障壁となる。 |
| ベンダへの過度な依存 | 運用を外部に任せすぎることで社内人材が育たず、主体的な変革が停滞。既存システムからの脱却が難しくなる。 |
それでは、1つずつ解説していきます。
既存システムのブラックボックス化
企業のIT環境を拡大していく過程で、社内の複数拠点・部署ごとに複数のシステムが乱立されている事例は珍しくありません。しかし、これまで統合されてこなかったこれらのシステムを、ワンストップの社内システムに統合していくことは困難なことです。
また、古くから存在する基幹システムなどの大規模システムの場合、改修やアップデートが繰り返され、システムが複雑化してブラックボックス化することも珍しくありません。特に、古いシステムであれば担当したエンジニアやベンダがいなくなることもあり、それもブラックボックス化の要因になります。
システムがブラックボックス化すると、既存システムの現状を改めて調査する必要があるため、DX推進を阻害することになるのです。
ベンダへの過度な依存
長期に渡ってシステム運用・管理をベンダに過度に依存してきた結果、DX推進を担える人材が社内に育っていなかった事例もあります。その場合、いくら経営層がDX推進したいと思っていても、既存システムの刷新やその先のDX推進は実現できません。また、ベンダから積極的なデジタル改革が提案されず、既存システムからの脱却が進まないことも考えられます。
それでもDX推進を果たしたい場合は、トップがDX推進にコミットし、社内はもちろんベンダも巻き込んで、強くDXを進めることが必要です。
DX推進に成功した事例

ここでは、DX推進に成功した事例について、以下の2つを解説します。
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- クボタ
- 長谷工コーポレーション
それでは、1つずつ解説していきます。
クボタ
クボタは、日本を代表する農業・土木機械メーカで、鉄管や産業用エンジンなどの製造も行っています。同社は今まで以上に会社業務の効率化や高度化を行うべく、DX推進を図っています。
例えば、事業本部ごとのIT部門を統合し、「G-ICT本部」を設置しました。また、マイクロソフトと戦略的提携を行い、農業機械の稼働情報をクラウドに集約して製品開発に活用するなど、AIを活用した生産性向上を図っています。また、機械の修理依頼内容をAIで解析し、品質向上に役立つ情報を短時間で提供する取り組みも行われているのです。
長谷工コーポレーション
長谷工コーポレーションは、マンション開発に強みをもつ大手ゼネコンです。長谷工コーポレーションでは、2020年4月に「DX推進室」を設置し、高度な設計・建築手法の習得を目指すこととしました。
例えば、「HDTL(Haseko Digital Technology Lab)」というオープンラボを設け、他社と協業でデジタル技術を駆使し高度な設計・建設手法の研究を行っています。自社のノウハウやAI技術を活かし、マンション設計業務の更なる効率化を目指しているのです。
また、「マンションFit(フィット)」というLINEアプリもDX施策の1つです。居住地・勤務地・家族構成などを入力すれば、過去の購入者データからAIがニーズに合ったマンションを紹介してくれます。また、見学予約などの手続きをこのアプリから行えるので、シームレスな顧客体験の提供につながっているのです。
よくある質問(FAQ)
Q1: DX推進を成功させるために、まず何から着手すべきですか?
A1: 「自社がデジタルを通じてどのような価値を顧客に提供したいか」というビジョンの策定から着手してください。ツール導入などの手段を目的化せず、経営戦略に基づいたゴールを明確にすることが成功の第一歩となります。
Q2: 「2025年の崖」とは具体的にどのようなリスクを指しますか?
A2: 経済産業省が提唱した概念で、老朽化した既存システム(レガシーシステム)が残存することで、2025年以降に最大12兆円/年の経済損失が生じるリスクを指します。データの未活用や保守コストの高騰が、企業の競争力を削ぐ主要な要因となります。
Q3: IT化とDX推進の決定的な違いは何ですか?
A3: IT化が「既存業務の効率化・デジタル置き換え」を指すのに対し、DX(デジタルトランスフォーメーション)は「デジタル技術を用いたビジネスモデルや組織そのものの変革」を指します。単なる利便性向上ではなく、市場での競争優位性を確立することが本来の目的です。
まとめ
DX推進は、消費者行動や社会情勢の変化に対応し、企業を安定的に成長させるため、多くの企業で求められていますが、自社の企業活動に落とし込む段階で課題を抱えている企業も少なくありません。
DXを推進させる際には、「目的・ビジョンの設定」から「継続的な見直し」まで、正しい手順で1つずつ行っていくことが必要です。また、既存システムのブラックボックス化やベンダへの過度な依存がよくある課題なので、該当する場合は確実に対処しましょう。この記事では、DX推進の成功事例も紹介しているので、そちらも参考にしてみてください。
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