INCUDATA Magazine_000537_DXを成功させるには目的を明確にしよう!目的の例やDXを実現させるポイントも解説

DXを成功させるには目的を明確にしよう!目的の例やDXを実現させるポイントも解説 -

目次

現在、多くの企業でDXの推進が求められています。ただ、残念ながらDXが失敗するケースも珍しくありません。

DXが失敗に終わる理由は多数考えられますが、よくある理由の1つは目的を明確にしないままDXを推進しようとすることです。DXの目的が不明確だと、DXプロジェクト推進のために行うべき具体的な施策や必要な投資がわかりません。そのため、DXが失敗に終わる可能性が高いのです。

そこで、本記事では、DXの望ましい目的の設定例や、DXの目的を実現させるためのポイントなどについて詳しく解説します。

DXの推進には目的の明確化が欠かせない

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DXはあいまいに捉えられがちですが、そのままではDXの推進はうまくいきません。DXは、あくまでビジネスモデルや 顧客体験を変革する手段の1つに過ぎず、DXの目的があいまいでは、効果を得られない可能性が高まります。しかし、DXの目的を明確化することで、具体的に自社でDXとしてどのような施策を行うか、もしくはどのようなシステムの刷新が必要か、明確になってくるでしょう。また、DX推進にあたって数値目標を設定すると、より一層目的が明確になり、DX推進を行いやすくなるはずです。

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DXの目的(組織全体)

ここでは、組織全体におけるDXの目的として、以下の3つを解説します。

    • 企業競争の優位性確保
    • 消費者ニーズへの対応
    • レガシーシステムからの脱却

それでは、1つずつ解説します。

企業競争の優位性確保

顧客目線に立ったDXを実現できれば、企業の競争優位性の確保に大いに寄与するでしょう。例えば、DXにより大量の顧客データを分析し、消費者インサイトを的確に見出せれば、消費者ニーズをつかみながら商品の差別化を図れるはずです。また、DXによる生産性向上や、データを活用した製品開発も、企業の競走力向上に役立つでしょう。

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消費者ニーズへの対応

現在、インターネットの普及により消費行動が多様化しています。また、SNSや口コミの影響力や、ECサイトの利用が拡大していることも見逃せません。それらの消費者ニーズに対応するには、DXでの推進によってデータを活用し、ニーズの多様化に対応した顧客体験や価値提供などを目指すことが欠かせないのです。

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レガシーシステムからの脱却

レガシーシステムとは、古い技術や仕組みをもとに構築された基幹システムのことで、使い続けていると、以下のリスクが想定されます。

    • システムの肥大化
    • システムの複雑化
    • システムのブラックボックス化
    • 新しい技術の導入の阻害
    • ランニングコスト増大
    • システム障害

 これらのリスクがあるレガシーシステムから、DX推進の過程で脱却することも、DXの目的の1つになるでしょう。

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DXの目的の例

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ここでは、DXの目的の例としてサービス提供時の観点から、以下の2つを解説します。

    • 新規サービスの提供
    • 既存サービスの進化

それでは、1つずつ解説します。

新規サービスの提供

DXを活用することで、これまで技術的に実現できなかったサービスの実現・提供を目指します。例えば、VRを活用してスタジアムでの観戦を擬似体験できるサービスが、その一例として考えられます。また、パートナー企業と共創しながらDXを進めることで、新たなサービスやエコシステムの構築も促進されるでしょう。

既存サービスの進化

既存サービスにおいても、DXによるサービスの進化が期待されます。例えば、工場や工事現場などで使用される機械メーカの場合、従来であれば5年ごとの点検など一律の保守サービスを提供していたところ、IoTや現場環境の測定データなどから故障の予知が出来るようになり、機械の使用環境に合わせた保守が可能になるなど、既存サービスにおいても顧客視点にたちデジタルを活用することで進化が可能になるのです。

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DXの目的の例(企業規模別)

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ここでは、企業規模別に分けた、DXの代表的な目的の例として、以下の2つを解説します。

    • 中小企業
    • 大企業

それでは、1つずつ解説します。

中小企業

中小企業では、業務効率化や事務作業の負担縮小を目的に、DXが推進されるケースが数多く存在しますが、DXにより企業競争力を向上させている事例もあります。例えば、菓子メーカーでは受発注から生産、在庫管理までを一元管理できる基幹システムを導入し、原材料の在庫を正確に把握できるようになりました。結果的に、以前のやり方では実現できなかった少量多品種の生産が可能になりました。
また、ある地方のバス事業を中核とする交通・運輸業の会社では、DXに特化した社内研修を実施し、全社的なデジタルシフトを推進しました。グループ企業間でのシームレスなコミュニケーション環境を整えることで、定期券アプリ事業がうまく立ち上がり、高齢者にも利用されるサービスになりました。

  • 参考:DX Selection 2023 | 経済産業省

大企業

大企業では、データの有効活用がDXの大きな目的になっているケースが数多く存在します。例えば、ある製薬会社では、同意を得た患者の投薬履歴、治療効果など多種多様な活用データを医薬品の承認申請や社内の意思決定に役立つ根拠情報として活用しています。将来的には、患者ごとに最適化された個別化医療の実現を目指しています。

  • 参考:デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2022

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DXを成功させるポイント

ここでは、DXを成功させるポイントとして、以下の4つを解説します。

    • DX人材の確保・育成
    • 新たな思考・開発方法の活用
    • データの利活用
    • 組織一丸の取り組み

それでは、1つずつ解説します。

DX人材の確保・育成

DX推進を担える人材(DX人材)には、デジタル・ビジネス両方の知見を有し、事業を変革する知見・スキルをもつことが求められます。DX人材の職種は、以下のとおりです。

    • ビジネスアーキテクト
    • デザイナー
    • データサイエンティスト
    • ソフトウェアエンジニア
    • サイバーセキュリティ

しかし、多くの日本企業では、DX人材は質量ともに不足の傾向にあります。実際、令和3年度情報通信白書によると、DX推進の課題として「人材不足」と回答した割合は日本では53.1%でした。この人材不足を解消するには、既存社員の育成や中途採用で、DX人材の確保・育成が欠かせません。また、すぐに人材不足を解決できない場合は、最初はアウトソーシングを行い、徐々にDX人材を社内で育成することも検討しましょう。

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新たな思考・開発方法の活用

DX推進の過程では、時代やニーズの急激な変化に柔軟に対応する必要があります。しかし、従来のプロジェクト管理方法や、ツール・システムの導入だけでは、それらの変更に対応しきれないこともあるでしょう。その場合は、新たな思考・開発方法の活用も有効です。新たな思考・開発方法として、以下表にまとめました。

デザイン思考

ユーザーの潜在的なニーズを追求し、その課題や願望を解決・実現に導く思考法

アジャイル開発

優先順位の高い要件から順に機能単位の小さなサイクルを繰り返す開発手法。計画以上に変化への対応を重視し、変化の速いビジネスでの活用に適する

新技術の活用

チャット型AIや画像生成AIをビジネスシーンで活用し、圧倒的な工数削減や制作プロセスのアシスタントを担うケースが出現

データの利活用

DXの推進には、データを生かしたビジネス変革が必要です。しかし、データ利活用の重要性が多くの場所で叫ばれている現代においても、データを適切に活用できている企業はまだ多くありません。
ビッグデータや多種多様なデータを用いて競争力のあるビジネスを確立させることももちろんですが、「そもそもなぜDXに取り組む必要があるのか」目的を明確にするために、データによる客観的なエビデンスの収集を行い、ニーズを発見するようにします。

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組織一丸の取り組み

DX推進には、社内全体で合意形成を行い、経営層のコミットや社内理解、各部署の協力が欠かせません。しかし、実際には社内で合意形成がうまくいかないケースは数多く存在します。また、DX人材の評価・人事制度が整備されていない企業や、必要な人材の要件を明文化できていない企業も、少なからず存在します。そのため、社内制度を見直した上で、DX人材が適切な評価を受けられる環境を整備することも欠かせません。

まとめ

現在多くの企業でDX推進が求められています。DXを成功させるために必要なことの1つは、DX推進の目的を明確にすることです。

一口にDX推進の目的と言っても、既存ビジネスの進化や、新たなビジネス創出など、さまざまな目的が考えられます。それらの目的ごとに、DX推進のために必要な施策や投資が変わってくるのです。また、目的を明確にしたら、組織一丸となってDXに取り組むこともが成功に欠かせません。その上で、DX人材の確保やデータの利活用を進めれば、成功確率は高まっていくでしょう。

なお、インキュデータは多くの企業に対し、マーケティング分野でのDX推進支援を行ってきました。マーケティングDX推進の目的を適切に設定し確実に実現したい方は、ぜひ一度ご相談ください。

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