データ分析の手順を5ステップで解説! - 主な手法や成功ポイントを理解してビジネスに活用 -
近年、膨大なデータを整理・解析し、そこから有益な知見や法則を導き出すプロセスであるデータ分析が注目されています。データ分析をビジネスに活用することで、迅速で客観的な意思決定や新たなビジネスチャンス発見などのメリットが期待できるでしょう。
しかし、データ分析は適切な手順を踏んで行わないと、十分な結果が得られません。また、データ分析手法にはさまざまな手法があり、それらの特徴を理解して最適な手法を選定することも、データ分析の成功には必要なことです。
この記事では、データ分析の手順や成功ポイントなどについて詳しく解説します。
データ分析の手順を解説する前に知っておくべき基礎知識

ここでは、データ分析の手順を解説する前に知っておくべき基礎知識として、以下の2つを解説します。
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- データ分析の意味
- データ分析はなぜ必要なのか
データ分析の意味
基礎知識の1つ目は、データ分析の意味です。データ分析の意味を解説する前に、「データ」と「分析」の意味を以下の表にまとめます。
表1:「データ」と「分析」の意味
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| データ | 判断に役立つ情報を有する事実。立論の材料として集められる。 |
| 分析 | 現在発生している事象に対し、データを基に因果関係や傾向を導くこと。 |
よって、データ分析の意味を定義付けるとすれば、「さまざまなチャネルから得られた情報を分析し、目的達成に役立てること」といえるでしょう。例えば、インキュデータの支援現場においては、顧客の属性情報や購買履歴などの実データを収集し、抽出された分析結果を具体的なマーケティング施策へ反映させています。
データ分析はなぜ必要なのか
基礎知識の2つ目は、データ分析が必要な理由です。以下に3つ、表にまとめます。
表2:データ分析が必要な理由
| メリット | 詳細 |
|---|---|
| 迅速で客観的な意思決定 | ・一定の法則や根拠に基づく分析結果を導く ・勘や経験に頼らず、的確かつスピーディーな意思決定を行う |
| 正確な現状把握 | ・的確に課題解決方法を立案する ・データに基づく予測により、マーケティング活動などの効果を高められる |
| ビジネスインサイトの発見 | ・分析で得た客観的な事実から、新たなビジネスチャンスを発見できる ・今まで関係性がないと思われていた項目同士が、実は関係があるとわかれば、新たなビジネスチャンスを見出せる |
データ分析の手順を五つのステップに分けて解説
ここでは、データ分析の手順として、以下の5つを解説します。
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- データ分析の目的を明らかにする
- 仮説を設定する
- データ分析方法を決定する
- データ収集・整形
- 実際に分析を行う
それでは、1つずつ解説していきます。

01.データ分析の目的を明らかにする
手順の1つ目は、データ分析の目的を明らかにすることです。データ分析の目的を明らかにすることで、以降の手順を効率的に進められるため、客観的かつ合理的な判断を、より早く行えます。
特に、社会情勢などの変化が激しい現代社会のビジネスにおいては、いち早く自社の課題に対して仮説検証を行い、対策を講じることが一層重要となっています。また、データ分析の効果をより高めるためにも、目的を定めることが大切です。
データ分析の目的を最初から明らかにできない場合でも、最初は漠然とした目的を設定し、徐々に目的を精緻にしていけば構いません。
02.仮説を設定する
手順の2つ目は、仮説を設定することです。仮説設定は、データ分析を的確に遂行するための重要な指針となります。ここでは、無数に存在する可能性の中から優先順位を絞り込む作業が不可欠です。
インキュデータが支援したプロジェクトの傾向によると、「現場の勘」に頼りすぎた仮説よりも、初期段階の簡易的なデータ可視化に基づいた仮説の方が、最終的な分析精度が高くなる傾向があります。
03.データ分析方法を決定する
手順の3つ目は、データ分析方法を決定することです。仮説検証を行うために、最適なデータ分析方法を決定します。その際には、以下の要素を考慮するとよいでしょう。
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- 社内外から収集可能なデータであること
- 自社の課題
- 現在立てている仮説
これらの要素により、最適な分析手法は異なります。そのため、仮説を検証するために何を分析するか、抜け漏れなく整理することがポイントです。
04.データ収集・整形
手順の4つ目は、データ収集です。データ分析に必要なデータを収集します。必要なデータの種類や量は、データの分析手法や分析目的によって変わります。
また、データ収集方法もさまざまですが、いかに効率よく必要なデータを収集できるかどうかも、データ分析を成功させるポイントの1つです。
さらに、データ分析前にデータ整形を行わなければ、正確な分析結果を得られません。そのため、以下のとおりデータ整形を行いましょう。
表3:データ整形の手順
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 検証精査 | 現在使えないメールアドレスなど、使えないデータがないか検証する |
| データ統合 | データの重複がないか確認し、重複が存在する場合はデータを統合する。 新しいデータが追加されるごとに、データの重複がないか確認する |
| フォーマット標準化 | 電話番号や性別などの情報を記載するフォーマットについて、標準化を行う |
| データ更新 | 時間の経過で古くなったデータは、最新のデータに更新する |
05.実際に分析を行う
手順の5つ目は、実際に分析を行うことです。収集したデータを用いて、データ分析を行います。データ分析経験を積むほど、そのスピードや精度が上がります。ポイントを押さえると、初心者でも一定の成果が期待できるでしょう。
また、データ分析の手順書を作るなどして、データ分析が誰でも行えるようにすることも有効です。
データ分析の主な手法と手順を9つ解説

近年、大量にさまざまな構造化・非構造化データを蓄積・処理できるプラットフォームサービスが普及してきました。これにより、今までより容易にビッグデータ処理や高度の分析ができるようになりました。
データ基盤やデータ分析ツールを用いる場合、分析手法は大きく分けると以下の2種類にわけられます。
表4:基礎分析と機械学習の主な特徴
| 手法 | 特徴 |
|---|---|
| 基礎分析 | 分析対象データの、おおまかな傾向を知るための分析手法を意味する |
| 機械学習 | ・コンピュータがデータを反復的に学習し、データパターンを分析することを意味する ・教師なし学習:コンピュータに学習させるデータに対し、正解を与えない状態で学習させる ・教師あり学習:コンピュータに学習させるデータに対し、正解を与えた状態で学習させる |
ビジネスで実際にデータ分析を活用する際には、業種や業態、解決したい課題によって、より具体的に用いる手法を絞り込むことが可能です。
ここでは、データ分析の主な手法として、以下の9つを解説します。
<基礎分析>
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- クロス集計分析
- 共分散構造分析
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<機械学習(教師なし)>
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- クラスター分析
- アソシエーション分析
- 協調フィルタリング
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<機械学習(教師あり)>
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- ロジスティック回帰分析
- 決定木分析
- ニューラルネットワーク分析
- 遺伝的アルゴリズム
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クロス集計分析
手法の1つ目は、クロス集計分析です。クロス集計分析は主に、アンケート結果に、回答者の属性情報を加えて分析する際に用いられます。
年齢や性別などの属性別にアンケート結果を分析することで、属性別にアンケート結果の傾向を確認できます。あらゆるビジネスシーンで活用されるデータ分析手法の一つです。
共分散構造分析
手法の2つ目は、共分散構造分析です。共分散構造分析とは、複数の要素において関連性とその度合いをモデル化する分析手法のことです。
仮説は、パス図という要素同士を矢印で結んだ図で表されます。これにより、要素同士の関連性を可視化して、わかりやすく表現できます。
クラスター分析
手法の3つ目は、クラスター分析です。クラスター分析は、集団の中で同じ属性を持つ子集団を作り、子集団別に傾向や特徴を分析する手法です。集団の中で細かい属性別の傾向や特徴をつかむのに便利で、小売店などで使われます。
クラスター分析の例として、コンビニエンスストアでの例をあげましょう。一店舗の顧客を、性別や年齢層ごとの小集団を作ることで、より詳細に客単価や購買傾向について分析できるのです。
アソシエーション分析
手法の4つ目は、アソシエーション分析です。アソシエーション分析は、一見因果関係が無さそうな二者間での関連性を分析する手法です。主に店舗販売やECなどで活用される手法で、商品のセット販売戦略の立案などに使われます。
協調フィルタリング
手法の5つ目は、協調フィルタリングです。協調フィルタリングとは、あるユーザ、そのユーザと似た属性とのユーザにおいて購買行動を比較する分析手法です。
これにより、ユーザ同士における購入パターンの類似性や、まとめ買いされることが多い商品を分析できます。そのため、ECサイトのレコメンドなどによく活用されます。
ロジスティック回帰分析
手法の6つ目は、ロジスティック回帰分析です。ロジスティック回帰分析は、Yes・Noの2択で集計を行い、特定の事象が起こる確率を分析する手法です。
Web事業やマーケティングプラン立案によく用いられる手法で、例えばメルマガの開封率から売り上げを予測するなどの活用方法が考えられます。
決定木分析
手法の7つ目は、決定木分析です。決定木分析とは、ある原因から生まれる結果について、いくつも仮説立てしていく分析手法のことです。
また、それぞれの仮説に対する結果についても、さらに仮説を立てていきます。新サービス開発などに有効な手法です。
ニューラルネットワーク分析
手法の8つ目は、ニューラルネットワーク分析です。ニューラルネットワーク分析とは、人間の脳神経系ニューロンのモデルを用いた、分析手法のことです。画像認証処理や自然言語処理などの複雑な処理にも対応でき、Facebookや Google などでも採用されています。
遺伝的アルゴリズム
手法の9つ目は、遺伝的アルゴリズムです。遺伝的アルゴリズムとは、生物の進化をモデル化したアルゴリズムのことです。
生物の進化においては、環境に適応できた種ほど生き残る可能性が高まります。そのため、遺伝的アルゴリズムでは、最後に最も適応度が高い個体がその問題の解であると考えるのです。
データ分析の手順を理解した上で成功させるためのポイント

ここでは、データ分析の手順を理解した上で成功させるためのポイントとして、以下の3つを解説します。
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- 分析するデータの意味を理解する
- データ分析方法の中身を理解する
- データ分析結果を活用するビジネスについて理解する
分析するデータの意味を理解する
ポイントの1つ目は、分析するデータの意味を理解することです。分析するデータの意味を理解していないと、データ分析を行うことも、分析結果を活用することもできません。
なぜなら、問題の背景を考察して最適な分析手法も選定するには、データの意味を理解していることが欠かせないからです。
また、個人情報を含むデータを取り扱う際には、個人情報の取り扱い方やそれに関する法令に関しても、理解し適切に対策しなければなりません。個人情報が流出した場合、会社の信用は大きく低下し、企業活動にも大きな影響が出る恐れがあるからです。
データ分析方法の中身を理解する
ポイントの2つ目は、データ分析方法の中身を理解することです。データ分析方法の中身が理解できていないと、分析結果を出せたとしても妥当な結果か判別できません。
データ分析の中身を理解するには、以下の知識やスキルを身につける必要があります。
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- 数学
- 統計学
- PythonやRなどのプログラミングスキル
- パターン認識の知識
- データマイニング
- マーケティング
- データの読解力
データ分析結果を活用するビジネスについて理解する
ポイントの3つ目は、データ分析結果を活用するビジネスについて理解することです。データ分析結果を使いこなすためには、ビジネスにおいてデータが持つ意味や、どう役立つかを理解していなければなりません。
それには、そのビジネス自体について理解することが必須なのです。
具体的には、ビジネスモデルや業界のトレンド、競合他社の状況などを理解する必要があります。これらを理解することで、自社が解決すべき課題がわかる上に、最適なデータの収集方法や分析方法、さらには活用方法も明らかになるでしょう。
「データ分析手順」の成功事例
ここでは、「データ分析手順」の成功事例を解説します。
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- 日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社
- 株式会社オートバックスセブン
- カシオ計算機株式会社
それでは、1つずつ解説します。
日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社の事例
全国に1,000以上の店舗を展開し、多くのファンを持つ日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社では、デジタル施策を進める中で、サービスごとに異なるデータベースシステムを使用していたため、顧客データが分散し顧客行動の全体を捉えることができていませんでした。
これを解決するために、CDPによる顧客データの統合・活用を行い、顧客IDを軸にお客さまに関する全てのデータを統合していくことで、「誰が」「どういった頻度で」「どの店舗のどの商品を」を購入しているのかが見えるようになり、マーケティング施策に繋げることができるようになりました。
日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社のデータ分析手順事例はこちら>>>
株式会社オートバックスセブンの事例
カー用品販売で広く知られる「オートバックス」の店舗をはじめ、車検・整備、車買取・販売、海外やディーラーなどの事業を展開する株式会社オートバックスセブンは、顧客コミュニケーションが全社最適化されておらず、機会損失が発生している状況でした。
これを解決するために、全社プロジェクト体制構築を始め、データ活用のためのワークショップや既存データの洗い出しに取り組んでいきました。顧客データ基盤(CDP)も活用して、ゼロから大量のデータを統合し、一元管理ができるようになりました。
株式会社オートバックスセブンのデータ分析手順事例はこちら>>>
カシオ計算機株式会社の事例
年間約1千万台を世界で売り上げる腕時計「G-SHOCK」の開発・販売元であるカシオ計算機株式会社は、家電量販店などへの集客を目的にしたマスマーケティングの施策が機能しなくなり、お客さまの“顔”や“ニーズ”が見えづらくなる問題が浮上していました。
これを解決するために、マーケティング構想から、それに基づくシステムの設計・実装・運用に至るまでをつなげて考え、「嗜好性」「ホット度」「ロイヤリティ」の三つの軸でセグメント化することで顧客一人ひとりの状況に応じて適切なマーケティング施策を打つことができるようになりました。
これら以外にも、データ統合・基盤構築・活用に応じた多くの成功事例があり、以下のページでご紹介をしていますので、ぜひご覧ください。
データ分析に関するよくある質問(FAQ)
Q. データ分析の具体的な手順を教えてください。
データ分析は、①目的の明確化、②仮説設定、③分析手法の決定、④データの収集・整形、⑤分析の実施という5つのステップで進めるのが一般的です。この手順を遵守することで、主観を排除した客観的な意思決定が可能になります。
Q. 初心者がデータ分析を成功させるためのポイントは何ですか?
最も重要なのは「分析するデータの意味」と「その結果を活用するビジネス」の両方を深く理解することです。単にツールを操作するだけでなく、ビジネスモデルや業界トレンドを把握した上で、どのデータが課題解決に直結するかを見極める必要があります。
Q. 代表的なデータ分析の手法にはどのようなものがありますか?
大きく分けて、データの傾向を掴む「基礎分析(クロス集計など)」と、予測や分類を行う「機械学習(回帰分析、クラスター分析など)」があります。ECサイトのレコメンドなら協調フィルタリング、新サービス開発なら決定木分析といった具合に、目的に合わせて使い分けます。
まとめ
データ分析を有効活用すれば、合理的な経営判断や新規のビジネス創出に役立ちます。ただ、これらは適切な手順でデータ分析を行って、最適なデータ分析手法を選ばないと、十分に享受できません。
また、データ分析結果を使いこなすためには、データ自体やデータ分析手法に加え、ビジネスへの理解も欠かせません。ビジネス内容などを理解することで、データ分析の目的や分析結果の活用方法が明確になるでしょう。
インキュデータでは、データサイエンティストにおいても、ビジネス課題を理解し、ビジネスサイドとデータサイエンスをつなぐ人材であることを重視しています。お客さまのビジネスの理解に努め、仮説立案や分析設計を担う当社のデータソリューションをぜひご活用ください。












