INCUDATA Magazine_000404_パーソナライズドマーケティングの意味から活用事例まで詳しく解説! - 顧客一人一人に最適な体験を提供

パーソナライズドマーケティングの意味から活用事例まで詳しく解説! - 顧客一人一人に最適な体験を提供 -

目次

近年、IT技術の進歩と普及により、人々の生活様式が大きく変化しました。顧客の購買行動においても、インターネットの普及により多様化する傾向が見られます。

購買行動の多様化に対応するためには、パーソナライズドマーケティングで顧客一人一人に最適な体験を提供することが重要です。ただ、パーソナライズドマーケティングを行うにあたって、その注意点や手法についてしっかりと理解していなければ、十分な効果を発揮することはできません。

そこでこの記事では、パーソナライズドマーケティングの基礎知識や活用事例などについて詳しく解説します。

パーソナライズドマーケティングとは

ここでは、パーソナライズドマーケティングの基礎知識として、以下の3つを解説します。

    • パーソナライズとは
    • 従来の手法との違い
    • 類語との違い

それでは、1つずつ解説していきます。

パーソナライズとは

基礎知識の1つ目は、パーソナライズの意味です。

パーソナライズとは、「顧客一人一人の行動履歴や属性に基づき、それぞれの顧客に最適な体験を提供する」ことを意味する用語です。個々の顧客が有するニーズに合わせて最適な体験を提供することで、顧客ロイヤリティを高められるとされています。

昨今では、スマートフォンの普及やデータ分析技術の向上により、パーソナライズをマーケティングでも活用する場面が増えてきています。

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従来の手法との違い

基礎知識の2つ目は、従来の手法との違いです。

以下に、従来の手法を2つ紹介します。いずれの手法においても、効果的なシーンはまだ数多く存在しますが、パーソナライズドマーケティングで、顧客一人一人に最適な体験を提供することがより有効になるシーンも近年急激に増えています。

 

表1:従来の手法

 

マスマーケティング

  • TVCMなどで、不特定多数に企業から情報を伝えること。
  • スマートフォンなどのツールが普及し、顧客が自ら情報を集めることが容易になったため、マスマーケティングでは不十分なシーンが増えた。

マンパワーマーケティング

  • DM送付やイベントなど、アナログでマンパワーが必要な見込み客獲得方法のこと。
  • インターネットの普及で、顧客の購買行動が多様化してきた。
  • 顧客一人一人に合わせた見込み客獲得が重要になってきたため、マンパワーマーケティングでは不十分なシーンが増えた。

類語との違い

基礎知識の3つ目は、類語との違いです。

以下に、パーソナライズと類語を表にまとめ、違いを整理しました。

表2:パーソナライズと類語の違い

パーソナライズ

顧客属性などを元に、販売者側がその顧客に最適な体験を提供する。商品紹介だけでなく、Webコンテンツ提供や顧客に合わせた商品提供もパーソナライズに含まれる。

カスタマイズ

顧客自身が、販売者側から必要なものやオプションをチョイスする。

レコメンド

顧客属性などを元に、販売者側がおすすめの商品を紹介する。

パーソナライズドマーケティングのメリット

ここでは、パーソナライズドマーケティングのメリットとして、以下の2つを解説します。

    • 潜在客への効果的なアプローチ
    • 顧客との信頼感向上

それでは、1つずつ解説していきます。

潜在客への効果的なアプローチ

メリットの1つ目は、潜在客への効果的なアプローチです。

新規顧客を獲得する際に重要な取り組みの1つが、潜在客への効果的なアプローチです。潜在客は、自分自身の隠れたニーズをまだ認知できていない状態にあります。そのニーズを明らかにしたうえで、潜在客にとっても価値のある商品を提供できるのだとアピールできれば、新たな見込み客獲得につながります。

顧客データから趣味志向を分析することで、顧客の潜在的ニーズを新たに見つけ出して見込み客を獲得することが期待されるのです。

顧客からの信頼度向上

メリットの2つ目は、顧客からの信頼度向上です。

適切なタイミングでパーソナライズした情報を発信し続ければ、顧客との信頼関係を構築でき顧客満足度向上が期待できます。また、顧客からのフィードバックを受けて、顧客の要望に沿った商品展開も可能になるでしょう。

さらに、パーソナライズドマーケティングで顧客からの信頼度を向上させることで、リピーター獲得や顧客単価向上も期待できます。

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パーソナライズドマーケティングを成功させるための注意点

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ここでは、パーソナライズドマーケティングを成功させるための注意点として、以下の3つを解説します。

    • 顧客によい影響を与える情報だけを与える
    • 顧客に与える情報を偏らせ過ぎない
    • 提供サービスの種類が少ないと効果が限定的

それでは、1つずつ解説していきます。

顧客によい影響を与える情報だけを与える

注意点の1つ目は、顧客によい影響を与える情報だけを与えることです。

顧客の検索履歴などを参照した結果、すでに必要がなくなった情報を提供しても意味がありません。例えば、大分県から栃木県に引っ越した人に対し、大分県ローカルのイベント情報を提供しても参加できない可能性が高く、意味がない可能性が高いでしょう。

また、パーソナライズの結果、同じようなメールばかりが届けば、しつこいと感じる顧客もいます。顧客の検索履歴などに囚われすぎず、顧客に必要でよい影響を与える情報だけを選んで配信しましょう。

顧客に与える情報を偏らせ過ぎない

注意点の2つ目は、顧客に与える情報を偏らせ過ぎないことです。

パーソナライズドマーケティングでは、過去にSNSなどで閲覧した情報などを活用します。しかし、それに囚われて特定の情報ばかり提供してしまうリスクにつながるため、注意しなければなりません。

顧客に与える情報が偏り過ぎると、顧客は「情報操作しようとしていないか?」と不信感をもつことも考えられます。そのため、顧客の反応を見て、情報の偏り過ぎがあったら是正しましょう。

提供サービスの種類が少ないと効果が限定的

注意点の3つ目は、提供サービスの種類が少ないと効果が限定的であることです。

パーソナライズドマーケティングのメリットは、数多くの選択肢から、顧客に最適な商品を効率よく見つけてもらうことにあります。しかし、そもそもサービスの種類が少ないと、商品をパーソナライズする余地がありません。

そのため、提供サービスの種類が少ない場合は、そもそもパーソナライズドマーケティングを導入すべきかどうか、慎重に判断することが必要です。

パーソナライズドマーケティングを活用できるシーン

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ここでは、パーソナライズドマーケティングを活用できるシーンとして、以下の6つを解説します。

    • Web広告
    • メールマーケティング
    • ECサイト
    • SNS
    • ネットメディア
    • 商品提供

それでは、1つずつ解説していきます。

Web広告

活用できるシーンの1つ目は、Web広告です。

Web広告では、検索履歴や閲覧履歴よりパーソナライズを行い、一人一人に合った広告を表示することは珍しくありません。パーソナライズされたWeb広告は、販売者側にとっては広告のクリック率や購入率が高まる可能性があり、顧客側にとっても役立つ情報を得られる可能性があります。


メールマーケティング

活用できるシーンの2つ目は、メールマーケティングです。

メールマーケティングのパーソナライズ施策は、顧客属性や購入履歴より、メールの内容や送付タイミングを調整することで実現できます。

メールマーケティングができるということは、顧客は商品や会社をすでに認知していると言えます。そのため、パーソナライズしたメールを送り、「これは自分向けの情報だ!」と顧客に感じてもらい、興味を深めてもらうことが重要なのです。

ECサイト

活用できるシーンの3つ目は、ECサイトです。

ECサイトでは、顧客の検索履歴や登録情報、さらにはその顧客と似たユーザー属性の利用動向などから、商品レコメンドをパーソナライズ表示することが代表的な施策です。これにより、顧客は興味をもった商品とその類似商品を比較して、最適な商品を購入できます。

また、関連商品もレコメンドされれば、ついで買いの促進もできるため、顧客と販売者側の双方にメリットがあるといえるでしょう。

SNS

活用できるシーンの4つ目は、SNSです。

SNSでは、「いいね」やコメントなどの履歴を元にして、パーソナライズされた広告や投稿を配信することは、有効なマーケティング手法です。

さまざまな情報があふれるSNSにおいて、ユーザーが興味をもつ可能性が高い投稿や広告を優先的に配信することで、顧客満足度向上を図っているのです。

関連記事:SNS分析の実践方法- 生活者や顧客の声に耳を傾ける

ネットメディア

活用できるシーンの5つ目は、ネットメディアです。

ネットメディアでは、顧客の視聴時間や同様の趣味嗜好をもつ顧客の視聴作品などを元に、自動的にパーソナライズされたレコメンドを作成することがよくあります。これにより、ユーザーは視聴したいコンテンツを検索しなくても、自分の好みに合った作品を手軽に選べるのです。

商品提供

活用できるシーンの6つ目は、商品提供です。

これは、顧客の好みに合わせて商品そのものをパーソナライズするものです。例えば寿司屋が「小さな子どもに出す寿司はワサビを抜くこと」などがシチュエーションとして考えられます。

また、AIなどの技術を使いパーソナライズした商品提供を行う機会も増えてきました。例えば、アンケート結果や購入履歴をAIで分析し、送付する商品を決定しているサブスクリプションサービスがあります。

インキュデータがパーソナライズドマーケティングの活用をサポートした事例

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ここでは、パーソナライズドマーケティングの活用事例として、以下の2つを解説します。

    • カシオ計算機
    • 日本ケンタッキー・フライド・チキン

カシオ計算機

活用事例の1つ目は、カシオ計算機(以下CASIO)における事例です。

CASIOでは、長らく量販店や社外のeコマースで数多くの商品を販売してきましたが、顧客との直接的なつながりが少なく、消費者のニーズや嗜好などの把握に課題を感じてきました。そのため、デジタルマーケティングを本格的に活用して、顧客との直接的なつながりを増やし、理解を深めることにしたのです。

インキュデータがサポートしている顧客基盤のTreasure Data CDP(CDP: Customer Data Platform)では、ユーザを「嗜好性」「いま買いたい熱が高まっているかどうか」「ロイヤリティ」の3つの観点別にユーザをセグメント化しています。これをもとに、個々のユーザにフィットした商品やサービスを訴求し、パーソナライズドマーケティングを実現しているのです。今後は、構築した顧客データ基盤でユーザのニーズを把握し、商品開発やデリバリーなど社内のバリューチェーンへも生かしていこうとしています。

日本ケンタッキー・フライド・チキン

活用事例の2つ目は、日本ケンタッキー・フライド・チキン(以下日本KFC)における事例です。

日本KFCは、世界を代表する外食チェーン店の一つです。元々デジタルマーケティングへの意欲は高く、公式アプリやSNSなどを活用したマーケティングに取り組んできました。しかし、施策ごとにデータがバラバラだったため、顧客データを横断的に活用できないことが、日本KFCのマーケティングでは大きな課題だったのです。

そこで日本KFCは、Treasure Data CDP(CDP: Customer Data Platform)で顧客データを統合管理することとしました。CDPを用いることで、顧客一人一人の購入頻度や購入商品などのデータを収集し、よりパーソナライズされたマーケティング施策の実現を図ったのです。

具体的には、Treasure Data CDPで統合管理する顧客データを用いて、顧客のセグメントごとに以下のマーケティング施策を展開する仕組みを整備しています。

    • ロイヤリティプログラム
    • クーポン配信
    • LINE配信
    • 広告配信
    • プッシュ通知
    • Webサイト上でのレコメンデーション

インキュデータはTreasure Data CDPの構築パートナーとして採用されました。担当者によると、導入の決め手は施策実行を支援するサポート体制だったと言います。当初はデータのマネジメントができる専門家が社内におらず、社員が自走していくためのサポート体制が重要だったのです。

まとめ

パーソナライズドマーケティングは、インターネットの普及で顧客の購買行動が多様化している現代において、ますます重要度が増しています。活用事例を研究し自社のビジネスでも採用できるか検討してみてはいかがでしょうか。

なお、インキュデータではデータ活用コンサルティングを提供しています。パーソナライズドマーケティングで顧客一人一人に最適な体験を提供したい方は、ぜひ一度ご相談ください。

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