深刻化するDX人材不足 - どう確保する!?どう育てる!?DX推進の担い手

現在、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を巡り、DXを推進する人材の不足が深刻化しています。企業は「DX人材」をどう確保し、どう育てれば良いのでしょうか。その現実的な方法をご紹介いたします。

DX人材のスキルセット

DX人材」とは、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進できる人材、あるいは担える人材を指しています。

DXは、データとデジタルテクノロジーを活用して業務やビジネスモデルを変革する取り組みです。画一的な定義はありませんが、下記に示す経済産業省(以下、経産省)の定義が一般的な理解に近いものといえるでしょう。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタルテクノロジーを活用して、顧客や社会のニーズをもとに製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

では、こうしたDXの取り組みを担える人材とは、具体的にどのようなスキルや知見を持った人材なのでしょうか。

経産省の外郭団体でIT人材育成などを事業として展開している独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の2019年の調査([1])によれば、DXを推進するには以下のようなスキル(ないしは、能力)を持った人材が必要になるとのことです。

①プロデューサー:DXやデジタルビジネスの実現を主導するリーダー格の人材(CDO ([2])含む)

②ビジネスデザイナー:DXやデジタルビジネスの企画・立案・推進などを担う人材

③アーキテクト:DXやデジタルビジネスに関するシステムを設計できる人材

④データサイエンティスト/AIエンジニア:DXに関するデジタル技術(AIIoTなど)やデータ解析に精通した人材

UXデザイナー:DXやデジタルビジネスに関するシステムのユーザー向けデザインを担当する人材

⑥エンジニア/プログラマ:上記以外にデジタルシステムの実装やインフラ構築などを担う人材

深刻化の様相を呈する「DX人材不足」

DXを推進する上で、ビジネスとテクノロジーに関する多様なスキル・能力を持った人材が必要になることは確かですが、問題なのはそれらのスキル・能力を持った人材が全般的に不足しているということです。

IPAの調査によれば、企業(東証一部上場企業)の半数近くが既存事業における市場競争力を維持できる期間は5年程度であり、その多くがDXを推進する組織を立ち上げ、データとデジタルテクノロジーによるビジネスの変革に力を注ぎ始めているといいます。ところが、そうした東証一部上場企業の6割強が、上に挙げた6つのスキル・能力を持った人材について「大いに不足」「不足」と答えています。

こうした人材不足の問題は今後さらに深刻化する可能性が指摘されています。例えば、経産省が2019年に公表した「IT人材需給に関する調査([3])」では、AIIoT、ビッグデータ(分析・解析)といった先端 IT に精通する人材は2030年に45万人不足する可能性があるとしています。つまり、上述した④に関するスキル・能力を持った人材はこれからますます不足し、年々、人材確保が難しくなっていく可能性が高いということです。

ゆえに、DXを推進して自社の競争力の維持・強化を図るのであれば、DXの戦略を即座にまとめ上げて人材の確保・育成に取り掛かることが必須と言えます。そうしなければ「人材不足」という理由からDXの推進が不可能になるリスクがあるのです。

DX推進の中核人材をどう確保・育成するか

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では、DX人材を確保・育成するには具体的に何をどうすれば良いのでしょうか。

前述したDXの推進に必要とされる6つのスキル・能力のうち①プロデューサー、②ビジネスデザイナーのスキル・能力は、DX推進の中核を担う人材に必要なスキル・能力と言えますが、それはデジタルテクノロジーと業務・ビジネスの双方に関する理解・知識によって獲得できるものです。

例えば、自社の現行のビジネスが、どのような業務プロセスによって成り立っているのか、あるいは自社の本質的な強みがどこにあるのかを熟知していなければ、デジタルテクノロジーに関する知識があっても、デジタルテクノロジーによって自社のビジネスのどこをどう変革すべきかの見当がつかず、DXを主導したり、DXを支えるシステムの企画・立案を行ったりすることはできません。ゆえに、①、②のスキル・能力を持った人材の確保・育成の方法としては、社内の事業部門やIT部門(情報システム部門)の社員に先端のデジタルテクノロジーに対する理解・知見を深めてもらうことが効率的な一手と言えます。ただし、それをどのようにして行うべきかという問題は残ります。

社内のIT部門にすべては頼れない

前述の③から⑥の四つは、DXに関するアイデア・構想を具現化するためのスキルや能力と言えます。

このうち、③のDXのためのシステムを設計するスキルや、⑤のUIをデザインするスキル、さらには⑥のシステムの実装やインフラ構築のスキルは、企業のIT部門にすでに備わっている可能性があります。システムの設計や実装、UIのデザインといったスキルは、そのシステムがDXのためのものであるかどうかにかかわらずシステム開発時には必要とされてきたものだからです。同様に、システムを稼働させるためのインフラを設計・構築し、運用管理を行っていくスキルも、そのシステムがDXのためのものであるかどうかによらず必要とされるスキルです。

とはいえ、企業のIT部門が主として担ってきたのは社内の業務システムやインフラの構築・運用管理であり、顧客や社会(あるいは生活者)のニーズを充足するためのシステムに関する経験は十分ではありません。例えば、UIを実装するスキルや能力はあっても顧客や生活者のニーズを充足して満足度を高められるUIをデザインするためのノウハウは蓄積されていないといったことがあります。

社内の業務システムは大きな仕様変更が頻繁に発生することはほとんどないと言えますが、DXのためのシステムは顧客や生活者のニーズの変化をとらえながら、短いサイクルで機能の拡張・変更を繰り返していかなければなりません。そのため、システムの構造が機能の拡張・変更に柔軟に対応しうるものであることが必要とされ、システムの設計には従来の業務システムとは異なるスキルや開発技術に関する知識が求められます。

開発実務においても、仕様をしっかりと固めてから相応の時間をかけてシステムを実装してテストし、リリースしていくといった従来の手法(「ウォーターフォール開発」と呼ばれます)を踏襲していると、機能変更の要求が激しいDXのシステムを開発することが困難な場合が多々あります。その場合には、プロトタイプをすばやく作り上げて実際に動くソフトウェアを関係者が確認しながら開発・テストを同時並行で行い、短サイクルで継続的にソフトウェアのリリースと改善を繰り返していく手法(「アジャイル開発」と呼ばれます)を取り入れなければなりません。

顧客や生活者のニーズに基づいて製品やサービス、ビジネスモデルを変革するには、顧客や生活者のニーズをとらえることが必須となりますが、それは企業のIT部門の役割ではなく、マーケティング部門や営業部門の役割です。ゆえに、企業のIT部門にはデータ活用のための基盤を作り上げるスキルや能力はあるとしても、顧客理解・生活者理解を深化させるためのデータをどのように収集して管理し、分析・活用するのはマーケティング部門や営業部門が適切かもしれません。

IT系の企業にとって、IT部門はITを専門とする唯一の組織です。そのため、DXを推進する上では欠かせない存在ですが、IT部門だけにDXの推進に必要なあらゆる技術的なスキルやノウハウの提供を求めるのは少なくとも現状としては難しいでしょう。

IT系の企業のIT部門は多くの場合、限りある人的リソースの中で現業を支える業務システムやITインフラの整備・運用管理を確実に遂行するという重責も担っています。その中でDXのためのシステムづくりに必要なノウハウを獲得し、DXの推進で中心的な役割を担っていくことは簡単なことではありません。既存の業務システムやITインフラの構造を変革し、IT部門にかかる負担を大幅に減らした上で人員のスキル転換を図っていくという相応の時間がかかる作業が必要とされるはずです。

外部パートナーとDXを推進するという選択肢

DXの推進に必要とされる人材を確保・育成するのは企業、特に非IT系の企業にとって簡単なことではなく、すべてを自社でまかなおうとすると相応の手間と時間を要することになります。仮に人材の確保・育成に多くの時間を費やすことになれば、その分、DXを推進するタイミングが遅くなり、市場での競争相手にDXで先を越されてしまうリスクが膨らみます。また、DXを推進する上ではデータやデジタルテクノロジーを使った新しい施策の検討にも人的リソースを割かなければなりません。その際、社内の人材だけでは、デジタルテクノロジーとデータの具体的な活用法がイメージできず、DXのスタート地点になかなか立つことできない場合があります。

そのような事態を回避するための合理的な選択肢といえるのが、外部の力を活用してDX実現に向けた施策を推進しながら、DXの推進に必要な技術やスキル、ノウハウを吸収していくことです。

例えば、ソフトバンク・博報堂・トレジャーデータの三社が設立したインキュデータは、企業のDX支援サービスを提供していますが、親会社から事業創造やマーケティング(デジタルマーケティング)、さらにはデータ活用のためのインフラ構築に精通したエキスパートが集結して組織が構成されています。また、各分野での経験・実績が豊富なメンバーも積極的に採用し、人材の厚みを増しています。

そのため、顧客理解を起点にしたお客さまのDXの取り組みを戦略立案の段階からサポートし、のちのデータ収集・統合のための基盤整備や、マーケティングでのデータ活用、ひいてはデータ活用を通じた新たなビジネスの創出やビジネスモデルの変革までをワンストップでご支援することができます(図)。

このご支援を通じて、お客さまは自社に足りていないDX推進のスキルやノウハウを補いながら、自社ならではのDXの施策を推し進めると同時に、その過程においてスキルとノウハウを吸収し、自社のDX推進力へと転換していくことが可能になります(図)。

DX推進に取り組む上で人材の確保・育成の問題を解決することは喫緊の課題です。その課題を、インキュデータのような外部の力を活用することでさまざまな施策を走らせながら解決していく──。自社だけに閉じないDX推進の採用を検討してみてはいかがでしょうか。

図:インキュデータによるDX支援のイメージ

インキュデータによるワンストップでのご支援イメージ.png


[1] 参考:情報処理推進機構(IPA)『デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査』より一部抜粋

https://www.ipa.go.jp/ikc/reports/20190412.html

[2] CDO: Chief Digital Officer(最高デジタル責任者)または、Chief Data Officer

(最高データ責任者)幅広いデジタル戦略を統括し、経営層の視点からデジタル変革を推進する役割を担う。

[3] 参考:経済産業省「IT人材需給に関する調査」

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdf?_ga=2.41127906.1348542182.1612757210-962558345.1612757210

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