INCUDATA Magazine_000563_CRMの導入事例を手法・業種別に解説!

CRMの導入事例を手法・業種別に解説! -

目次

CRMは、既存顧客の情報を一元管理することで、顧客関係を維持する際に役立ちます。顧客関係を維持させることができれば、顧客のLTV最大化に努め、安定した企業経営につなげることもできるでしょう。ただ、CRMを導入して、どのように自社のビジネスで活用すればよいかわからない方もいるかもしれません。その場合は、まずはCRMの導入事例を参考にすると、具体的なイメージがわきやすくなるでしょう。

そこで本記事では、CRMの導入事例を紹介した上で、CRM導入を成功させる秘訣を解説します。

CRMの導入事例を手法別に解説

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CRM(Customer Relationship Management 、顧客関係管理)は、顧客情報を一元管理して顧客関係を維持・向上させていくことです。最近では、CRMで顧客情報の一元管理を実現するツールを意味することも増えてきました。CRMで顧客情報を一元管理し、分析や顧客とのコミュニケーションに活用することで、顧客満足度向上や新たな施策立案が可能です。ここでは、CRMの導入事例として、以下の3つを解説します。

    • メール・LINE
    • コールセンター
    • BtoBビジネスにおける営業活動

それでは、1つずつ解説します。

メール・LINE

美容品卸売業の事例を紹介します。この会社では、顧客理解を深めるためにアンケートや定量データの活用を試みてきました。しかし、自分たちでシステムからデータを抽出・加工していたため、時間がかかるうえに効果測定も不十分という課題があったのです。そこで、CRMとLINE・メールを併用し、きめ細やかなシナリオ設計を行うことで、顧客体験(CX)の向上を図りました。

CRMを活用した結果、顧客ごとに商品を購入するサイクルを把握できるようになりました。その結果、購入サイクルから時間が経過している顧客に対し、迅速にLINEやメールでアプローチするようになり、顧客の離脱率が10%改善されるようになったのです。

さらには、顧客ごとに併売率の高い商品を把握できるようになり、顧客ごとに訴求する商品を変えてアプローチしてLTVの向上につながる施策も実行できるようになりました。

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コールセンター

食品会社の事例を紹介します。この食品会社は、CRMとコールセンターを活用して顧客満足度向上を実現させました。この食品会社では、定期購入者へのサービスが少ないという顧客の声を、課題に感じていました。カレンダーのプレゼントやイベントへの招待などの施策を行っても、充分な効果がみられませんでした。

そこで、どのような施策が顧客への満足度を高められるか特定すべく、1年以上定期購入を行っている顧客を対象にアンケートを行いました。その結果、コールセンターの評判がよいことが分かり、オペレーターの判断で長期継続顧客へは商品の無償提供を可能とする取り組みを始めました。すると、継続顧客の満足度がアップし、結果的に売り上げも向上したのです。

BtoBビジネスにおける営業活動

マーケティング支援会社のBtoB事業での事例を紹介します。この会社では、営業活動を社内で平準化できていないことを課題に感じていました。社内では、営業活動を統一的に管理する仕組みはなく、エクセルで営業管理している部署もあれば、そもそも部署単位では営業管理自体をやっていないケースもありました。

しかし、リードタイムが長い新規事業を立ち上げることとなったため、今まで以上に営業活動が複雑化し、営業活動の平準化が必要になってきました。そこで、クラウドプラットフォームのCRMを活用し、営業活動の可視化を図ったのです。その結果、レポート機能などを駆使して、個々の営業活動を可視化できるようになりました。また、ナレッジ共有もしやすくなり、営業活動方法の転換もうまく進んでいます。

CRMの導入事例を業種別に解説

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ここでは、業種別のCRMの導入事例として、以下の5つを解説します。

    • プロスポーツチーム
    • 日用品小売ECサイト
    • デジタルマーケティング支援企業
    • 化粧品メーカ
    • 食品メーカ

それでは、1つずつ解説します。

プロスポーツチーム

プロスポーツチームの事例を紹介します。このプロスポーツチームは、安定して好成績をおさめ、優勝することも珍しくない強豪チームです。ただ、ホーム拠点が郊外にあり、成績の割に観客動員数が伸びないことに課題を感じていました。そこで、CRMツールを活用し、ファンクラブの会員データから、ファンサービスの見直しを図りました。

親会社施設への広告出稿や、SNSによる情報発信も実施した上で、各施策の効果をCRMツールに蓄積されたデータと比べることで仮説検証を行い、改善を繰り返しました。その結果、CRMを導入してから10年後、CRMツールを導入する直前に比べ観客動員数の161%アップに成功しました。特に、今まで取り込みができていなかった女性客の取り込みも、徐々に成果が出てきています。

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※上記の「プロスポーツチーム」の事例は、福岡ソフトバンクホークス株式会社の事例ではありません

日用品小売ECサイト

小売ECサイトの事例を紹介します。この小売ECサイトでは、日用品を取り扱っています。ただ、電話注文やECサイトなどから得た顧客情報を、全社で使える形として管理できていないことが課題でした。そのため、以前問い合わせがあった顧客に最初からヒアリングを行うことも多く、コミュニケーションが非効率になることも珍しくありませんでした。そこで、CRMを導入することで、顧客との対応履歴を記録することにしました。

CRMを導入した結果、その場で顧客の情報や過去のやり取りを確認できるようになり、顧客情報を理解したうえで接客できるようになりました。そのため、顧客の購買履歴を参考にしつつ適切な商品をオススメすることも可能になり、アップセルに成功するケースも増加しました。また、売上向上だけでなく、「顧客第一」で接客しようと考える空気の醸成も、CRM導入の成果と言えるでしょう。

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デジタルマーケティング支援企業

デジタルマーケティング支援会社の事例を紹介します。このデジタルマーケティング支援会社では、中小・ベンチャー向けに事業を展開してきました。しかし、今まではアウトバウンドマーケティングを中心にしており、営業担当者がプッシュ型の営業活動も担うため営業効率の悪さに課題を感じていました。そこで、インバウンドマーケティングで、Webを通じて見込み客からリードを得る仕組み作りを目指し、CRMを活用することとしたのです。

CRMの機能で自社のWebサイトから資料をダウンロードできる仕組みを立ち上げ、顧客の方から問い合わせができるインバウンドマーケティングを実施しました。結果、ツール導入前と比較して、訪問が可能な見込み客数が大幅に増加し、営業担当者も見込み客との商談に集中することができ、営業効率が向上しました。熱量のある見込み客が増え、顧客単価も2倍になりました。

化粧品メーカ

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外資系化粧品メーカの事例を紹介します。この化粧品メーカでは、ECサイトやSNSなどの顧客接点が多様化したことで、オフラインとオンライン双方の顧客データの活用が、マーケティング上重要と考えるようになりました。そこで、実店舗とECの顧客データを一元化し、両者の会員IDを統合することとしました。これにより、一人一人の会員の購買行動が詳細にわかるようになりました。

また、顧客行動をCRMで分析した結果、実店舗とEC両方で購入してくれる顧客が存在し、そのような顧客は購入頻度が高いことがわかりました。その結果を踏まえ、オムニチャネルから購入してくれる顧客相手の施策を強化し、オムニチャネル顧客の数を前年比で27%増加させることに成功したのです。

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食品メーカ

食品メーカの事例を紹介します。この食品メーカでは、注文履歴などより得られる「定量データ」と、アンケートより得られる「定性データ」の双方を活かした施策を図っています。例えば、CRMツールで指標をダッシュボード上で表示し、顧客フォローメールも自動化することで、リソース不足を解消しました。

また、お客様アンケートを分析し、自社の送料や購買頻度に課題があることを突き止めました。その結果、自社の送料を見直して、お試し商品による検証でCPO(新しい顧客から注文1件を得るために、いくらかかったか)が33%改善されたのです。

CRMの導入事例からわかる成功の秘訣

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ここでは、CRMの導入事例からわかる成功の秘訣として、以下の6つを解説します。

    • CRMの導入目的を明確化
    • 情報の一元管理
    • 顧客状況に合わせてコミュニケーションの取り方を工夫
    • 中長期的視点で判断
    • 社内で協力体制の構築
    • CRMツールの効果的な活用

それでは、1つずつ解説します。

CRMの導入目的を明確化

まずは、CRMを用いてどのような課題を解決したいか、なぜ顧客情報を管理するかなど目的を明確にしましょう。それにより、管理すべき顧客情報やアプローチすべき顧客層が決まり、必要のない施策の実施を防げます。また、本当に必要な顧客情報にフォーカスして、顧客情報を管理できるでしょう。

情報の一元管理

記録した顧客情報は一元管理し、どこにどんな情報があるか社内に周知しましょう。これにより、従業員が必要なときに必要な顧客情報を取り出せるようになり、顧客一人一人に合った素早い対応が可能になります。また、効率よく顧客とのコミュニケーションを進める助けになるでしょう。

顧客状況に合わせてコミュニケーションの取り方を工夫

顧客接点から得られる情報や顧客の購買データを参考に、顧客とのコミュニケーションを工夫しましょう。CRMの顧客情報を活用し、顧客が今どんな状況で、どのようなアプローチがベストなのかを常に考えられることで、適切な顧客対応を行って顧客からの信頼獲得につながるはずです。

中長期的視点で判断

CRMは「顧客や見込み客と良好な関係を構築・育成」することが目的です。しかし、顧客との関係性は決して簡単に構築できるものではないため、CRMの効果は短期間で出るものではありません。しかし、顧客と継続的にコミュニケーションを取っていき、施策やコミュニケーションの取り方を少しずつ改善していければ、中長期的には徐々に改善していけるはずです。短期的な視点に囚われすぎず、中長期的な視点で効果を判断しましょう。

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社内で協力体制の構築

前述のとおり、CRMは、短期間で成果が出るものではありません。そのため、社内でCRMに関して反発や疑念が起こることも考えられます。それらを払拭するには、導入後の成果が期待できるデータや情報が必要です。また、最初から全社的にCRMを導入するのが厳しい場合は、まずは部署単位や事業単位で小さくCRMを採り入れ、中長期的な成果を見える化しましょう。本記事の事例も、成功例として紹介することも有効です。ぜひ参考にしてみてください。

CRMツールの効果的な活用

近年、顧客情報は多様化し、その情報量は膨大になっているため、人力だけでは整理しきれなくなってきています。例えば、「購買履歴」に関する情報ひとつとっても、顧客がその商品を知った経路には多彩な情報があります。例えば、同じ商品でもWeb広告だけでなく、雑誌やタクシー広告をきっかけに商品を知ったユーザーもいるかもしれません。

このように、経路は多数想定できるため、それを常に記憶するのは大変です。そこで、顧客情報管理のノウハウが詰め込まれたCRMツールを使い、顧客情報管理を自動化しましょう。CRMツールには便利な機能が多数用意されており、CRMに必要な作業を効率化できます。

まとめ

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本記事では、CRMの導入事例を紹介した上で、CRM導入を成功させる秘訣も解説しました。CRMの導入事例を知ることで、自社でどのようにCRMを活用すればよいか具体的にイメージできるでしょう。また、自分たちだけでは思いつかなかった、CRMの活用アイデアも思い浮かぶかもしれません。

また、CRMに限らず新しい方法を取り入れる際には、運用の手間など社内の反発もあるかもしれません。その場合でも、CRMが効果を発揮した事例は、CRMの成果を中長期的に見てほしいと説得する材料になることでしょう。

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