INCUDATA Magazine_000532_オムニチャネル戦略は日本でも普及!メリットや成功のポイント・事例を解説

オムニチャネル戦略は日本でも普及!メリットや成功のポイント・事例を解説 -

目次

スマートフォンの普及によって、多くの人々にとってインターネットの利用は当たり前のものになり、消費者行動が多様化しました。

それに伴い、取り組みが拡大しているマーケティング戦略が、オムニチャネル戦略です。オムニチャネル戦略を用いることで、顧客満足度の向上や、細やかな顧客分析が可能になることなど、複数のメリットがあります。ただ、オムニチャネル戦略を成功させるポイントがよくわからない方もいるかもしれません。

そこで、本記事では、オムニチャネルの意味やメリット、成功のポイントを解説した上で、オムニチャネルの成功事例についても詳しく解説します。

オムニチャネル戦略とは

ここでは、オムニチャネル戦略の基礎知識として、以下の2つを解説します。

    • オムニチャネルの意味
    • 類語

それでは、1つずつ解説します。

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オムニチャネルの意味

INCUDATA Magazine_000532_オムニチャネル戦略とは
オムニチャネルとは、店舗やECサイト、アプリなど、オンラインやオフラインを問わず、さまざまなメディアで顧客との接点を作って購入につなげていく戦略を意味します。オムニチャネルを採用することで、顧客の利便性が向上し、商品の販売機会増加を狙うことが可能となります。また、経済産業省の報告書では、オムニチャネルについて、以下の通り言及しています。

オムニチャネルのポイントは、消費者による商品の気付、興味関心、検索(内容や特徴 の理解、比較検討)、購買、受取といった一連の購買プロセスが、消費者にとって快適かつ 合理的であるよう、消費者視点で各チャネルがシームレスに構成される点にある。小売事業者の事業態様は、GMS(General Merchandise Store)、百貨店、コンビニエンスストア、 SPA(製造小売業)、家電量販店等、製造小売業と多様であるが、特定の業種に偏ることな くオムニチャネル戦略は展開されている。

※原文まま

このように、各チャネルが独立して存在するのではなくシームレスに構成されていることも、オムニチャネルの特徴といえるでしょう。

類語

オムニチャネルの類語として、以下の4つを一覧表にまとめました。

 

マルチチャネル

複数の販売チャネルを用意すること。チャネル同士の連携はなし。

クロスチャネル

各販売チャネルを連携させて、顧客情報などを共有すること。シームレスな対応はなし。

O2O

(Online to Offline)

オンラインからオフラインに顧客を誘導すること。

OMO

(Online Merges with Offline)

オンラインとオフラインの併合システムのこと。

 

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オムニチャネル戦略は日本でも普及しつつある

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オムニチャネル戦略は、日本でも普及しつつあります。ここでは、オムニチャネル戦略の現状について、以下の2つを解説します。

    • オムニチャネルの市場規模
    • オムニチャネル戦略普及の背景

それでは、1つずつ解説します。

オムニチャネルの市場規模

ここでは、日本におけるオムニチャネルの市場規模を解説します。野村総合研究所の調査によると、2019年度にはオムニチャネルの市場規模は55.0兆円でしたが、オムニチャネルの市場規模は拡大し、2026年度には80.9兆円になると予想しています。また、2020年は新型コロナウイルス感染症拡大により、旅行、外食などのサービス需要が一時的に落ち込んだものの、オンラインへのシフトが加速しました。オムニチャネルの需要は、今後も拡大傾向にあると考えられます。

オムニチャネル戦略普及の背景

オムニチャネル戦略普及の背景には、スマートフォン普及が密接に関わっています。令和4年の情報通信白書によると、令和4年には「スマートフォン」で国内の世帯保有率は88.6%でした。これにより、多くの人が気軽にインターネットに接続できるようになり、消費行動が多様化しました。実店舗だけでなくECサイトや自社アプリを販売チャネルとして使われるケースも珍しくなくなった上に、商品の検索や比較も容易になったのです。

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オムニチャネル戦略のメリット

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ここでは、オムニチャネル戦略のメリットとして、以下の3つを解説します。

    • 顧客満足度向上
    • 細やかな顧客分析
    • 機会損失防止

それでは、1つずつ解説します。

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顧客満足度向上

オムニチャネルを活用することで、顧客の利便性が向上し、顧客満足度向上が期待できます。例えば、ECサイトで購入した商品を実店舗で送料無料で受け取れると、ユーザにとってメリットがあります。また、YouTube動画では広告内で購入可能な広告プランがあります。このプランを活用すると、動画で商品説明を見た後すぐに商品購入が可能です。このように、オムニチャネルによるシームレスな購買環境を提供することで顧客満足度が向上すればLTVが向上し、結果的に安定収益にも寄与するでしょう。

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細やかな顧客分析

オムニチャネルでは、オンライン・オフライン両方で顧客の行動データを蓄積します。複数チャネルを展開することで、顧客の情報を得る機会が増加するため、個々のユーザに対する商品レコメンドや、購買頻度にあわせた施策や対応の精度向上が期待されるでしょう。

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機会損失防止

機会損失とは、在庫切れ等によって、本来自社で利益を上げられるはずだったチャンスを逃し、結果的に利益を逃すことです。このような機会損失があると、競合他社に顧客が流出し、競合他社のロイヤルカスタマーになってしまった場合、再度自社の商品を購入してくれる可能性が低下します。しかし、各販売チャネルを連携させて統合的に管理すれば、機会損失のリスクを軽減できます。例えばECサイトと実店舗を連動させれば、店舗で在庫がなくとも後日EC側から店舗を訪れた顧客へ発送することも可能です。

オムニチャネル戦略を成功させるポイント

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ここでは、オムニチャネル戦略を成功させるポイントとして、以下の4つを解説します。

    • ロードマップ作成
    • カスタマージャーニー整備
    • 社内体制整備
    • 社内システム整備

それでは、1つずつ解説します。

ロードマップ作成

まずは、オムニチャネル戦略を推進するためのロードマップを作成しましょう。自社の環境分析を十分に行った上で、オムニチャネル導入・運用の目的や、必要なタスク、さらにはスケジュールやそれぞれの役割分担を明確化します。それらを全社で共有することで、オムニチャネル戦略の成功に欠かせない、全社的な取り組みの一助になるはずです。

カスタマージャーニー整備

オムニチャネル戦略では、ユーザ行動に沿ったチャネルの提供と、それぞれのチャネルにおける施策を行うことが必要となります。そのためには、カスタマージャーニーの活用が有効です。カスタマージャーニーを用いることで、ユーザが商品を認知してから購入するまでのプロセスを明らかにし、顧客はどのチャネルを、どのタイミングで用いるか推測できます。これにより、チャネルを効果的に活用して成果を上げるための戦略を立案できるのです。

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社内体制整備

オムニチャネル戦略の成功には、店舗とEC間での物流の整備など全社的な取り組みが欠かせません。それには部署ごとの連携が必要で、社内体制の整備で組織の抜本的見直しを行い、会社全体の意思統一を図りましょう。

社内システム整備

オムニチャネル戦略を実現するには、商品情報や購入履歴など、各チャネルの全データを統合・一元管理して、情報の統合が欠かせません。それには、社内システム整備でデータの連携・統合・蓄積を進めることが大切なのです。

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オムニチャネル戦略の成功事例

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ここでは、オムニチャネル戦略の成功事例として、以下の2つを解説します。

    • アパレル セレクトショップ
    • 福岡ソフトバンクホークス

それでは、1つずつ解説します。

アパレル セレクトショップ

アパレル セレクトショップA社はは、20近くのブランドで数百のの店舗をもつなど、全国にセレクトショップを展開するアパレル企業です。A社では、メールやアプリなど、さまざまなチャネルを活用して顧客とのコミュニケーションを図ってきました。また、MA(Marketing Automation)で顧客とのコミュニケーションの自動化も図ってきました。ただ、MAのシナリオ構築の際に、会員属性データと購入履歴データしか活用できていませんでした。ここに、Webサイトのアクセスデータなどの情報も活用できれば、さらにMAのシナリオを強化し、コミュニケーションを最適化できると考えました。

そこでCDPを導入し、自社のWebサイトのログデータを蓄積することにしました。これにより、Webサイトのアクセスデータを活用して、顧客理解や顧客とのコミュニケーションに活用しました。また、アプリ用の分析ツールを導入しました。これにより、新しく取り組みを始めたアプリのプッシュ通知において、現状把握を速やかに行えるようになりました。さらに、アプリ配信で得られたデータもCDPに蓄積することで、より一層顧客理解を深められたのです。

福岡ソフトバンクホークス

福岡ソフトバンクホークスは、この12年で7回の日本一を達成してきた、日本屈指の人気プロ野球チームです。ホームの福岡PayPayドームも高い集客力を誇ってきましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響やスタジアムでの応援も制限されていたことから、今一度集客力を強化することが課題でした。そこで、ファンのエンゲージメントを高めるべく、ファン一人一人に向き合うOne to Oneコミュニケーションを強化することとしました。

その際に、インキュデータは「Treasure Data CDP」の導入をサポートしました。これにより、これまで統合できていなかったファンクラブの会員情報、チケット購入履歴、物販利用状況などの情報を統合・分析できるようになったのです。また、「Treasure Data CDP」による分析結果を、外部ツールと連携するための基盤の構築も行い、今までよりも緊密にファンとコミュニケーションを取れるようになりました。

まとめ

オムニチャネルは、オンラインやオフライン問わず、さまざまなメディアでシームレスに顧客との接点を作って、商品購入につなげていく戦略です。スマートフォン普及で消費者行動が多様化していることもあり、オムニチャネルの拡大は当面続くと考えられます。

オムニチャネル戦略を成功させるには、ロードマップ作成から社内システム整備までのプロセスを、順を踏んで確実に行うことが大切です。また、この記事で解説した事例も参考にすると、よりオムニチャネルへの理解が深まるのではないでしょうか。

なお、インキュデータは、マーケティングデータの活用コンサルティングを提供しています。オムニチャネル戦略活用を検討されている方は、ぜひ一度ご相談ください。

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