休眠顧客の眠りを覚ます方策 - 冷え切った顧客との関係を再構築する術(すべ)を知る

経済が低成長期にあり、消費の中心を成す生産年齢人口も減少傾向にある日本では、多くの市場で規模拡大が望み薄の状況が続いています。そうした中で重要性を増しているのが、休眠顧客のリターゲティングです。そのための方法をご紹介いたします。

なぜ、顧客は休眠するのか?

すぐにでも休眠顧客の眠りを覚ます方策であるリターゲティングについてご紹介したいのですが、その前段として、なぜ、顧客は休眠してしまうかについて少し触れておきます。

ここでいう「休眠顧客」とは、過去に自社のソリューション(製品サービスを使用していたが現在は使用していない顧客や過去に商談を交わしたものの契約の成立までには至らず、商談自体も長く行えていないような顧客を指しています。

例えば、自社が展開している会員制度の会員でありながら、自社の製品サービス を長期間にわたって購入用しておらず、マーケティング施策にも一切反応しなくなったような顧客がいるはずです。そうした顧客は休眠顧客です。また、B2Bビジネスであれば、取引はなくても都度商談の機会のあった見込み客が、あるときを境に商談の機会を与えようとはしなくなり、そのままの状態が長期に及ぶことが多々あります。本稿では、そうした見込み客も休眠顧客に含みます。

では、このような休眠顧客が「休眠してしまう理由」は何でしょうか。

考えられる理由の一つは、生活者であればニーズや嗜好、ライフスタイルの変化によって特定のブランドや製品サービスに関して興味・関心を失ってしまうことです。いったん興味・関心を失うと相応のきっかけがない限り、そのブランドの製品サービスを使おうとは考えなくなり休眠顧客になっていきます。

B2Bビジネスにおける顧客(企業)の場合、ほぼ全ての購買活動は課題の発生をトリガにしており、ブランドへのロイヤリティや嗜好を起点にした購買活動は行いません 。特定の製品サービスを導入するのは、そうすることが自社の課題解決に最適であると判断したためで、特定ブランドの 製品を集めたいといった理由から、その製品を購入するわけではありません。ゆえに、課題解決のニーズが満たせた時点で、導入した製品やサービス、さらには、その提供元に対する興味関心は薄れていくのが通常です。結果として、新たに発生した課題への解決策が提示されない限り、導入した製品サービスの提供元によるマーケティングやセールスのアプローチに反応しなくなり、いわゆる休眠の状態に入っていきます。

一方で、企業が顧客向けに提供している会員サービス (メルマガ配信サービスや会員サイトサービス)の多くは、顧客の囲い込みを目的に無料で提供されています。そのため、顧客にとっては、会員であり続けることの負担はほとんどなく、逆に脱会の手続きをすることのほうが面倒です。結果として、その企業の製品サービスに興味関心を失っていても脱会しようとはせず、会員でありながら企業から届けられた販促のメールやDMは全て読まずに捨ててしまうようになります。

なぜ必要?休眠顧客へのアプローチ

ID00200_210519_Magazine_02_2320_1340_iStock-1169192820_コラム10-02.jpg

自社のブランドや製品、サービスへの興味・関心を失った休眠顧客の“眠りを覚ます”ことは、簡単ではありません。それでも休眠顧客へのアプローチが必要とされる理由はシンプルです。それは、新規顧客を開拓するよりも休眠顧客にアプローチするほうが、より少ないコストと時間で顧客が獲得できる可能性が高いからです。

特に今日の日本では、経済が低成長期にあり、多くの市場でドラスティックな規模拡大が望めない状況が続いています。そうしたなかで、競合会社との戦いを制して新規顧客を獲得する難度は非常に高いといえます。ゆえに、休眠顧客を含めた既存顧客からの売り上げの増大が営業戦略上の重要なテーマとなるわけです。

加えて、顧客の嗜好やニーズは絶えず変化しており、新しい課題も都度発生します。こうした状況は、休眠顧客を生みやすい一方で、休眠顧客を見込み客へと再度変化させられるチャンスが往々にしてあることを意味しています。

休眠顧客の眠りを覚ます具体策

休眠顧客を自社の製品・サービスをよく使う優良顧客へと転換するには具体的に何をどうするのが良いのでしょうか。

有効な施策の一つは、蓄積してきた顧客データを使って休眠顧客の中から「かつての優良顧客」を探し出し、休眠原因を徹底的に分析して特定することです。その分析結果に基づいて、かつての優良顧客に新たな提案を提示すれば、顧客の購買意欲を喚起できる可能性が大きくあります。

休眠顧客に対する接触頻度を高めてマーケティングやセールスのアプローチ、サポートサービスの継続的な改善を図ることも大切です。目前にある数値目標の達成に日々追われている営業の現場では優良顧客へのアプローチやケアに忙しく、休眠顧客へのケアやアプローチがなおざりになることが多くあります。そうなると、休眠顧客は休眠顧客のまま眠りを覚ますことはありません。

休眠顧客の復活に関しても明確な目標を定めて再アプローチの計画を立てて実行に移すことが重要です。

例えば、B2Bビジネスを展開している企業であれば、担当者が休眠顧客のデータを参照しながら電話で接触して自社の製品・サービスに対するニーズを改めてヒアリングしていきます。その結果にもとづきながら、営業部門のフィールドセールスが適切な頻度で休眠顧客への接触を再開させ、休眠顧客の現状の課題に対する理解を深めた上で新たな提案を提示します。これにより、その企業や製品・サービスに対する休眠顧客の認識や意識が変化し、製品・サービスの新規購入・利用に対してより積極的になる可能性があります。

CRM/SFAなどに過去の商談記録が残っているのであれば、そのデータから休眠顧客のリストを作り、MA(Marketing Automation)によるリードナーチャリング(リード育成)のプロセスに乗せるという方法もあります(図1)。これにより、休眠顧客に対して自身では気づいていなかった課題に気づかせ、その課題に紐づく自社の製品・サービスへの興味・関心・購入意欲を喚起することが可能になります。

図1:休眠顧客のリードナーチャリングプロセス

ID00200_210519_Magazine_Zu01_incudata1225-⑩-1.jpg

さらに、自社の製品・サービスへの興味・関心を高めた休眠顧客(=この時点では見込み客)のリストをインサイドセールスが引き継ぎ、電話によるアプローチをかけることで商談の場を設けられる可能性が広がります。

しかも、休眠顧客の場合、セールスのアプローチをかけてきた企業は過去に商談をしたことのある、あるいは取引のあった“旧知”の存在です。そのため、商談のアポイントメントが取れる可能性は全くの新規の見込み客よりも高いといえます。

以上の記述からも分かるとおり、休眠顧客にアプローチする上で必ず必要になるのはデータの収集・蓄積であり、分析による顧客理解の深化です。そもそも、休眠顧客に関する過去からのデータの蓄積がなければ、休眠顧客が何をきっかけに休眠状態に入ったのかが分からず、休眠顧客のアプローチを改善するプランは立てられません。また、休眠顧客に対するマーケティングやセールスのアプローチを新たに始めるにしても施策を展開しながら顧客の反応をデータで残し、蓄積・分析して継続的な改善を図っていかなければなりません。つまり、休眠顧客へのアプローチを始める際には、休眠顧客の過去の取引データを含めて、新たなアプローチに対する休眠顧客の行動データを収集して分析・活用するためのデータ基盤が必要になるというわけです。逆に言えば、顧客データを統合する基盤の用意があれば、「休眠顧客の眠りを覚ます」施策をよりスピーディに、かつ精度よく継続的に展開していくことが可能になるということです。これによって、営業部門の売り上げ増大が短期間で実現される可能性が高められます。

CONTACT お問い合わせ

弊社のサービスに関するお問い合わせや、取材・メディア掲載についてはこちら。

弊社のプロダクト・サービスに関する資料、各種調査結果、ホワイトペーパーなどを無料公開。