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休眠顧客の掘り起こしはなぜ必要?手順やポイントも併せて解説 -

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更新日:2023年4月10日
 
安定して収益を上げ続けるには、少ないコストで顧客を獲得し、長く自社サービスを使ってもらう必要があります。そのために有効な手段の1つが、休眠顧客の掘り起こしです。

ただ、休眠顧客の意味やその掘り起こしが必要な理由について、よくわからない方もいるかもしれません。また、休眠顧客を掘り起こすには手順を踏んで確実に行う必要があります。それらの手順も把握しておきたいところです。

そこでこの記事では、休眠顧客の意味や掘り起こしが必要な理由を解説した上で、休眠顧客の掘り起こし手順やポイントについても詳しく解説します。

休眠顧客とは

休眠顧客とは、過去に商談や取引などのやり取りがあったものの、今は表舞台に出ず放置された状態の見込み顧客を意味します。具体的には、以下の状態であれば休眠顧客と考えてよいでしょう。

    • 過去に自社のソリューション(製品・サービス)を使用していたが現在は使用していない顧客
    • 過去に商談を交わしたものの契約の成立までには至らず、商談自体も長く行えていない顧客
    • 取引はなくとも都度商談の機会はあったが、あるときを境に商談の機会すら与えず、そのままの状態が続いている顧客

休眠顧客が発生する要因

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ここでは、休眠顧客が発生する要因として、以下の4つを解説します。

    • 商品・サービス・価格に不満
    • 顧客状況・ニーズの変化
    • 競合他社への乗り換え
    • 特段の理由がない顧客都合

それでは、1つずつ解説します。

商品・サービス・価格に不満

商品・サービスの内容やその価格に不満を感じることは、代表的な休眠要因の1つです。顧客が商品・サービスに魅力やメリットを感じなければ、購入を中止しても無理はありません。また、値上げや価格改定も、価格に顧客が不満を抱くことで、休眠顧客を発生させる要因になり得るでしょう。

顧客状況・ニーズの変化

年齢やビジネス形態などが変化すると、顧客状況やニーズが変化して、商品や料金に不満がなくてもニーズが満たせなくなるケースもあります。商品が完全に不要になると掘り起こしは困難ですが、新たな使い方や使いこなせていない機能を伝えることで、顧客が必要性を再び感じることもあるかもしれません。

特にBtoBでは、顧客ロイヤリティでなく課題解決がきっかけで購買行動が変化することが一般的です。そのため、課題解決できれば商品や提供会社への関心は薄れがちで、休眠の要因として顧客状況・ニーズの変化は十分考えられます。

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競合他社への乗り換え

競合他社のサービスが、自社のサービスより顧客のニーズを満たせる場合、競合他社への乗り換えも休眠顧客を産み出す原因になります。その場合は、掘り起こしは困難です。ただ、離反した要因を分析し、競合他社のサービスと自社のサービスを比較することで、自社のサービスを改良する気付きを得られるかもしれません。

特段の理由がない顧客都合

これといった特別な理由はないものの、顧客都合で休眠しているケースもあります。その場合、すでに他社に流れた「離反顧客」である可能性が高く、掘り起こしは困難です。ただ、単に自社の存在を忘れているだけのケースもあり、慎重に見極めましょう。

休眠顧客の掘り起こしはなぜ必要?

休眠顧客の掘り起こしが必要な理由は、完全な新規顧客を開拓するよりも、コストや時間をかけずに顧客獲得できる確率が高いとされるからです。現状の日本では、多くの市場でドラスティックな規模拡大が望めない状況です。その分、休眠顧客からの売上獲得の重要性が増しています。

また、顧客の嗜好やニーズの変化に伴い、新しい課題も都度発生するものです。しかしこれは、休眠の要因にも休眠顧客の掘り起こしの要因にもなり得ます。そこで、休眠を減らして、反対に休眠顧客の掘り起こしに成功すれば、売上アップにつながることは容易に想像できます。さらに、休眠までの利用状況、休眠期間、休眠理由などをまとめ、データ分析を行いましょう。これにより、顧客ニーズ把握や製品の改善点発見にもつながるはずです。

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休眠顧客の掘り起こし手順

ここでは、休眠顧客の掘り起こし手順として、以下の3つを解説します。

    • 休眠顧客のセグメント分け
    • 掘り起こしメッセージ作成
    • アプローチ手段の選定

それでは、1つずつ解説します。

休眠顧客のセグメント分け

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最初に、掘り起こしの効果を高めるため、休眠顧客をセグメント分けしましょう。セグメント分けのメリットは、大きく分けて2つあります。

 

コスト抑制 アプローチする顧客数を減らし、効率よく掘り起こしができればコストを抑制できる
顧客とのコミュニケーション強化 顧客の特徴が明確になるので、掘り起こしの戦略や訴求ポイントなども明確化できる

これらの理由から、セグメント分けを的確に行うことで、効率的に休眠顧客の掘り起こしを行えるのです。最初から正確なセグメント分けは困難かもしれませんが、仮説を立てて徐々にセグメント分けの精度をあげていきましょう。

ここでは、休眠顧客をセグメント分けする基準として、以下の2つを解説します。

    • 購入回数
    • サービス内容・金額の変更履歴

それでは、1つずつ解説します。

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購入回数

顧客のセグメント分けのひとつとして、購入回数が活用できます。例えば、購入回数から以下のとおり休眠の要因を推測できるでしょう。

 

1回しか購入しなかった 商品・サービスに不満の可能性が高い
複数回購入 商品・サービスへの不満より、顧客自身の状況変化が要因の可能性が高い

サービス内容・金額の変更履歴

サービス内容や金額の変更も、休眠の原因になり得ます。そのため、商品・サービス内容・料金の変更履歴と顧客の離反時期を重ね合わせ、休眠の要因を分析することも有効です。例えば、以下のとおり考察できるでしょう。

 

商品の値上げ以降、購入がない 価格がネックの可能性が高い
新規購入特典を付けており、1回は購入してくれたものの2回目の購入がない 新規特典目当ての可能性が高い

掘り起こしメッセージ作成

顧客のセグメント分けと離反原因の推測の次に、休眠顧客を掘り起こすためのメッセージを作成しましょう。セグメントの離反原因ごとに、適したメッセージは異なります。なお、メッセージを送ってすぐに再購入を目指すことは必ずしも得策とは限りません。あくまでも、顧客心理に沿って無理なく掘り起こしすることに努めましょう。

ここでは、掘り起こしメッセージを作成する際の切り口として、以下の3つを解説します。

    • 不満
    • 忘却
    • 顧客状況変化

それでは、1つずつ解説します。

不満

顧客が商品・サービスに不満をもっている場合は、以下の方法を試してみましょう。

 

商品の使い方やメリットの再訴求 おすすめの使い方やメリットを示すことで、商品の理解不足を解消する
ヒアリング
  • 直接ユーザから意見を聞き取ることで、不満点を理解する
  • ユーザも「意見を聞いてくれた」ことをポジティブに感じる可能性がある

忘却

競合他社の商品などを使っていくうちに、商品への興味が薄れてきた場合は、以下の施策を考えてみましょう。

 

購入履歴の挿入 顧客への手紙に、過去購入した商品名を出し、「商品Aを購入いただきありがとうございました」などのメッセージを伝える
商品写真の挿入 商品の写真を掲載することで、休眠顧客に商品を思い出してもらう

顧客状況変化

年齢や生活環境など、顧客状況が変化したことで、商品を購入する必要がなくなった場合、商品自体に問題はなく、掘り起こしターゲットから外すべきケースもあります。ただ、以下の対応も検討するとよいでしょう。

 

別商品の案内 単身者向けのサービスを使っていたものの、結婚して子供ができた人に対し、ファミリー向けサービスを紹介する
友人紹介のお願い 商品自体には好印象をもっていれば、その商品を必要としている友人を紹介してくれる可能性がある

アプローチ手段の選定

自社で現在実施でき、かつ休眠顧客が反応してくれる可能性が高いアプローチ手段を選定し、アプローチを実行します。なお、低予算で初めて、徐々にセグメント分けやメッセージを改良していくことを勧めます。また、余裕が出てきたら、複数の手段を組み合わせて使うことも有効です。

ここでは、代表的なアプローチ手段として、以下の4つを解説します。

    • Eメール
    • 電話
    • DM
    • Web広告

それでは、1つずつ解説します。

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Eメール

低コストで手軽に取り組める手段の1つが、Eメールです。効果を高めるには開封率アップが必要で、それにはタイトルや本文冒頭で相手の興味を惹けるかがポイントになります。また、以下の方法を試して、PDCAサイクルを回して改善を繰り返すことも必要です。

    • 不達となった顧客は、ターゲットから除外する
    • クリック履歴を元に、顧客の現在の心理や状況を推測する

電話

自社ですでにカスタマーセンターを有している場合、電話も低コストで始められる手段の1つです。電話の受け答えで、コンタクトできたか直接わかるものの、客層によっては電話を嫌がるケースもあることに留意しなければなりません。

DM

紙のDM(ダイレクトメール)であれば、実物の紙を届ける分、電子メールより相手にインパクトを与えることも可能でしょう。顧客属性や訴求サービス・商品を考えて設計すると、より効果が高まります。ただ、質やデザインなどにこだわるとコストがかかるので、まずはターゲットを絞って低予算で開始し、反応を見て改善していくことを勧めます。

Web広告

Web広告も、休眠顧客からの認知を再び得るために有効な手段です。リマーケティングで、休眠顧客が自社サービスに対するニーズが生じたタイミングで広告配信すれば、自社サービスに再び興味をもつかもしれません。また、Web広告はオフラインの手法に比べて効果測定を行いやすいこともメリットです。

休眠顧客掘り起こしのポイント

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ここでは、休眠顧客掘り起こしのポイントとして、以下の3つを解説します。

    • 早めに行動
    • データ管理の徹底

それでは、1つずつ解説します。

早めに行動

休眠状態が長いほど、顧客は製品やサービスに関する興味が薄れるものです。そのため、休眠状態に入った顧客に対して、速やかに対応していくことが、休眠顧客掘り起こしのポイントになります。それには、まずは最終購入日から4ヶ月など、期間で区切って休眠顧客の定義付けを明確に行いましょう。また、購入履歴や行動パターンから、いち早く休眠顧客の存在を察知することも大切です。これらのポイントを踏まえて、休眠顧客一人一人に合わせて適切なアプローチを取りましょう。

データ管理の徹底

休眠顧客を確実に掘り起こすには、顧客情報を活用し、適切なアプローチを立案することが欠かせません。そのため、顧客データは重要な資産になるのです。しかし、最新の情報に更新されていない、過去のヒアリング内容が記載されていないなど、データが不十分だと、十分に顧客データは効果を発揮しません。これでは、正確なマーケティングを立案して、効率的に休眠顧客を掘り起こすことは困難です。

そのため、SFAやCRMなどを活用し、データ管理を徹底しましょう。これらで管理しているデータを用いて、MA(Marketing Automation)のリードナーチャリングプロセスに乗せることも有効です。

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まとめ

休眠顧客は、すでに自社やそのサービスと接点をもったことがあります。そのため、休眠顧客の掘り起こしは、完全に新規の顧客を獲得するよりも少ないコストや時間で実施できる可能性が高いと言えるでしょう。

休眠顧客の掘り起こしを行うには、顧客のセグメント分けやメッセージ作成、さらにはアプローチ手段選定と、手順を踏んで行いましょう。また、早めの対応を心がければ、休眠顧客の掘り起こしに成功する確率も高まるでしょう。

なお、休眠顧客掘り起こしには顧客データの活用も欠かせません。データ活用には顧客データ基盤が有効です。インキュデータはCDP(Customer Data Platform 顧客データ基盤)をはじめとしたデータ基盤構築に豊富な実績を有しているので、ぜひ一度ご相談ください。

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