INCUDATA Magazine_000434_ETLとは? - 概念・関連用語とツール活用のメリット・比較のポイントを解説

ETLとは? - 概念・関連用語とツール活用のメリット・比較のポイントを解説 -

目次

企業活動で発生するデータは、多くの場合バラバラに存在しているため、社内全体で使いこなすにはデータを統合管理する必要があります。データの統合管理手段はいくつか存在しますが、ETLもその方法の一つです。

ただ、ETLの意味や関連用語について、十分理解していない方も多いのではないでしょうか。また、ETLを実現するには、自らプログラムを作成することも可能ですが、最近ではETLツールを活用することが増えています。そのため、ETLツールを活用するメリットや選ぶポイントを理解することも、ETLを実現するためには必要でしょう。

そこでこの記事では、ETLの概念やETLツールを用いるメリットなどについて詳しく解説します。

ETLとは

ここでは、ETLの基礎知識として、以下の2つを解説します。

    • ETLの意味
    • ELTとの違い

それでは、一つずつ解説していきます。

ETLの意味

ETLは、データを以下の順番で処理するプロセスです。

 

1 Extract(抽出)
  • 基幹システムやデータベースから、目的に沿ったデータを抽出する
  • ETL処理を外注する場合でも、セキュリティ上の観点から抽出は発注企業自身で実施することが求められる
2 Transform(変換)
  • 後述のDWHに書き出しやすいよう、データを変換・加工する
  • DWHに適したデータ形式でデータを共有することで、作業効率が向上する
3 Load(格納)
  • Transform(変換)プロセスで作成したデータファイルを、DWHへ書き出す
  • DWHの「インポート命令」(データ取り込み命令)を利用すると、効率的に実施できる

 

自らシステムプログラムを構築できる場合は、ETLを実現するプログラムをスクラッチ開発で作成することも可能です。ただ、最近ではスクラッチ開発ではなく、プログラミング知識がなくともシステムを構築できるETLツールが用いられることが増えてきています。

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ELTとの違い

ELTは、データをE(Extract)→L(Load)→T(Transform)の順番で処理するプロセスです。ETLとは、L(Load)とT(Transform)の順番が逆で、統合元のデータをそのまま統合先へ移して、変換は統合先のデータベース内で行います。

統合元システムに負荷がかからないことと、専用ITツールがなくともできることがELTのメリットです。一方、統合先データベースに大きな負荷がかかるため、統合先データベースには大きな容量が必要になることが、ELTのデメリットです。

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ETLに関連する用語

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ここでは、ETLに関連する用語として、以下の2つを解説します。

    • EAI
    • DWH

それでは、一つずつ解説していきます。

EAI

EAI(Enterprise Application Integration)は、企業内の複数システムを連携させて、リアルタイムでの処理のためにデータやプロセスの統合を図ります。一方で、ETLは、点在するシステム間でデータを抽出・加工し、後述のDWHに保管します。そのため、ETLはデータ分析の目的のためにデータを統合する。そのためリアルタイム性は問いません。

DWH

DWH(Data Ware House)とは、ETLで抽出・加工されたデータを保管するためのデータベースを意味し、社内に点在するシステムからデータを集めて保管してくれます。DWHでは、データが時系列で保存されるため、DWHに保存されているデータは、分析もしやすいでしょう。

ETLにツールを用いるメリット

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ここでは、ETLにツールを用いるメリットとして、以下の3つを解説します。

    • 開発工数削減
    • データ品質向上
    • 高速処理

それでは、一つずつ解説していきます。

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開発工数削減

ETLツールは、データ統合に必要な部品を提供してくれます。直感的操作でこれらの部品を組み合わせれば、プログラミングの知識がなくとも、簡単にデータ統合プログラムを作成できます。そのため、データ統合プログラムの開発工数を削減できるのです。

データ品質向上

ETLツールはデータ統合に必要な機能を有しており、DWHへのデータ統合を容易にしてくれます。データフォーマットが異なっていても、適宜所定のデータ形式に変換してくれる上に、データの重複や誤りなども自動修正してくれるのです。これらの機能により、社内で管理しているデータの品質向上が期待されます。

高速処理

近年、データ変換処理速度が速いETLツールの開発が進められています。これにより、今まで以上に大量データの集計やソートが可能になるため、これまで活用できなかったデータを活用できるシーンが増えると期待されます。

ETLツールの比較ポイント


ここでは、ETLツールの比較ポイントとして、以下の3つを解説します。

    • 既存システムとの連携可否
    • 処理可能量・速度
    • 料金体系・オプション

それでは、一つずつ解説していきます。

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既存システムとの連携可否

ETLツールで、社内の既存システム同士を連携できれば、プログラミングができなくともスムーズに既存システム同士でデータ連携ができます。しかし、ETLツールごとに対応するDBやデータの形式が異なります。そのため、そのETLツールで連携させたいシステムとの連携が可能か、事前に確認しましょう。

処理可能量・速度

ETLツールを選ぶ際には、膨大なデータを処理するために必要な処理可能量・速度を有しているか確認しましょう。特に重要なのが、変換処理エンジンの性能です。変換処理エンジンの性能が高いほど、ETLツールの処理可能量・速度が高いと考えられます。

料金体系・オプション

ETLツールにおいて、料金体系は以下の2つに大別できます。

定額制
  • データ使用量にかかわらず、一定の料金が必要になる
  • 常に大量のデータを処理する必要がある場合に向いている
従量課金制
  • データ使用量によって、料金が変わる
  • データ処理量が、時期によって変動する場合に向いている

また、ETLツールによっては連携先を増やせるなど、オプションを有するものもあります。オプションを使用する場合は、オプション料金が必要になる可能性があるので、注意が必要です。

まとめ

ETLは、データを統合管理して、データ連携を実現するための処理の一つです。ELTやEAIなどの関連する用語とともに理解すると、よりETLに対する理解が深まるでしょう。

また、ETLを実現するには、スクラッチ開発でプログラムを作成することも可能ですが、最近ではETLツールを用いて、効率的な開発を行うことが増えてきました。ETLツールを導入する際には製品のコストだけではなく、サービス面や既存システム同士との連携性や処理可能量・速度などを考慮しましょう。

なお、ETLでデータ連携を確実に行うには高度な知識が求められることが多く、自社のリソースだけでは、十分に行えないことも少なくありません。そのため、ETLを使いこなしたい場合は、ETLに詳しいプロフェッショナルに依頼することも重要なのです。

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