INCUDATA Magazine_000612_調査データとは?収集方法・分析方法・アンケートの自由記述の分析まで詳しく解説!

調査データとは?収集方法・分析方法・アンケートの自由記述の分析まで詳しく解説! -

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日々、顧客のニーズをつかむために多様な調査を実施し分析している企業のご担当者も多いことでしょう。しかし、アンケート調査を実施するにあたって「具体的にどのように集計し、分析すれば効果的なのか」と疑問を持ちながら業務を進めている部分も多いのではないでしょうか。

確かに、アンケートを通じて顧客の声を得ることは、課題の発見や顧客ロイヤリティ向上の大きな手がかりとなるのですが、その結果を最大限に活用するためには、適切な分析方法が不可欠です。

そこで今回は、調査データの基本的な収集方法から、アンケートの自由記述の分析まで、実践的な手法を詳しく解説します。データをただ集めるだけでなく、それを戦略に繋げる知識を深め、次のマーケティング施策の一歩先を目指しましょう。

調査データとは?

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調査データとは、特定のテーマや問題に関する情報を得るために集められたデータのことです。このデータは、アンケート調査の回答結果や、既存の統計資料から収集されることが一般的です。アンケートでは、個人の意見や体験、行動パターンなどが質問され、それらの回答がデータとして集められます。一方、統計資料からのデータは、人口統計や経済状況など、より広範な情報を含むことがあります。これらの調査データは、特定の研究や分析、意思決定の基礎として使用され、社会や組織における重要な指標となり得ます。

調査データの収集方法

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ここでは、調査データの収集方法について解説します。

    • 定量調査
    • 定性調査
    • 覆面調査
    • 統計データ調査

それでは、1つずつ解説します。

定量調査

調査データの収集方法の1つ目は、定量調査です。

定量調査とは、数値やデータに基づく情報を収集するための調査手法を指します。この手法の特徴は、具体的な数値やデータを得ることができるため、客観的かつ明確な結果を得られる点にあります。

例えば、ある商品の購買意欲を持つ人の割合や、サービスの満足度などをパーセンテージとして示すことができます。

定量調査の実施方法は多岐にわたりますが、対面でのインタビューや郵送によるアンケート、そして最近ではWeb上でのアンケートが主流となっています。Webを利用した調査は、コスト効率が良く、大量のデータを短時間で収集することが可能です。

市場調査において、この定量調査は代表的な方法とされています。なぜなら、明確な数値データに基づく情報が企業のマーケティング戦略や商品開発の方向性を決定する上で非常に有効だからです。これにより、市場のニーズや傾向を正確に把握し、効果的な経営判断を下すことが可能となります。

定性調査

調査データの収集方法の2つ目は、定性調査です。

定性調査とは、数値化されたデータではなく、参加者の主観的な意見や感情、動機などの質的な情報を深く探るための調査手法を指します。この調査方法の目的は、単なる数字やパーセンテージでは捉えきれない、人々の背後にある思考や感情を理解することです。

例えば、グループインタビューは定性調査の一つの手法であり、特定の属性(例:年齢、性別、職業など)を持つ人々を集めて行われます。この手法の魅力は、顧客の本音や深層のニーズを引き出せる点にあります。商品やサービスのブラッシュアップ、新しいマーケティング戦略の構築などを考える際に、このような定性的な情報は非常に価値があります。

しかし、定性調査はその性質上、一般化や客観性に欠けることがあるため、定量調査と併用することで、よりバランスの取れた情報収集が可能となります。

覆面調査

調査データの収集方法の3つ目は、覆面調査です。

覆面調査とは、実際のサービスや商品の提供現場で、一般消費者のように振る舞いながら、サービスの質や商品の状態などを評価する調査手法です。この調査は、通常、企業や店舗が自らのサービス品質を客観的に把握するために行われます。

覆面調査の大きな特徴は、調査員が「覆面」つまり、顧客として振る舞うことです。これにより、従業員は調査員である事実に気づかず、日常通りのサービスを提供します。このため、実際の消費者が体験するサービスの質や、商品の状態をリアルタイムで把握することが可能となります。

調査結果は、依頼主である企業や組織に報告され、サービス改善の参考となる貴重なフィードバックとして活用されます。例えば、接客態度、レスポンスの速さ、商品の品質、店舗の清潔さなど、多岐にわたるポイントがチェックされます。

覆面調査は、顧客目線での評価を重視する企業や店舗にとって、サービスの質を向上させる上で有効な手法として認識されています。

統計データ調査

調査データの収集方法の4つ目は、統計データ調査です。

統計データ調査とは、特定の目的や問題解決のために、既に公的機関などが公表している統計データを利用して、情報収集や分析を行う調査方法を指します。この方法の特徴は、大規模なデータが既に収集・公開されているため、迅速かつコストを抑えて必要な情報を取得できる点にあります。

政府や大学、研究機関が実施した調査は、非常に幅広い領域にわたる情報を持っており、その中から特定の属性やカテゴリーに基づいて、ターゲットとなる顧客層の情報を抽出・分析することが可能です。例えば、年齢、性別、職業といった属性によって、消費傾向や生活様式、価値観などの情報を調査できます。

企業やマーケターは、この統計データ調査を通じて、市場の動向、顧客のニーズや行動パターンを深く理解できます。また、新しい商品の開発やマーケティング戦略の策定に際して、客観的で信頼性の高いデータに基づいて意思決定を行うことが可能となります。

調査データの分析方法

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ここでは、調査データの分析方法について解説します。

    • 時系列分析
    • クラスター分析
    • アソシエーション分析
    • 主成分分析
    • 決定木分析

それでは、1つずつ解説します。

関連記事:データ解析の意味は?メリットや代表的手法も解説!

時系列分析

調査データの分析方法の1つ目は、時系列分析です。

時系列分析は、特定の現象や変数の時間的な推移を調査・分析する手法のことを指します。具体的には、過去のデータを時系列として並べ、将来のトレンドや周期性、季節性などを予測したり、異常な変動の原因を探ることが主な目的となります。

例として、企業の売上データを考えた場合、月ごとや年ごとの売り上げの変動を時系列分析することで、特定の季節に売り上げが上がる傾向や、ある出来事が売り上げに与えた影響などを明らかにできます。

また、気象データや経済指標など、様々な分野で時系列分析は活用されています。これにより、過去のデータから未来の予測を行ったり、データの中に隠れた周期性やトレンドを発見できます。

クラスター分析

調査データの分析方法の2つ目は、クラスター分析です。

クラスター分析は、多変量解析の手法の一つであり、大量のデータや回答者を似た特徴や属性を持つグループ、すなわち「クラスター」に分類し傾向を分析します。この手法は、アンケートの回答者の背後にある隠れた傾向やセグメントを発見するために使用されることが多いです。

例えば、商品の好みや消費行動、価値観などの多様なアンケートの回答結果から、消費者を特定のセグメントに分けることができます。これにより、各セグメントの特徴やニーズを詳細に分析し、マーケティング戦略や商品開発の方向性をより的確に決定することが可能となります。

アソシエーション分析

調査データの分析方法の3つ目は、アソシエーション分析です。

アソシエーション分析は、大量のデータの中からアイテム間の関連性やルールを発見するための分析手法のことを指します。例えば、あるスーパーマーケットのデータを分析すると、「ビールを購入する客は、同時に紙おむつも購入する傾向がある」といった関連性を発見できるかもしれません。

アソシエーション分析の結果は、販売戦略の策定や商品の陳列方法、クロスセルやアップセルの戦略など、ビジネス上の多くの意思決定に活用されます。この手法により、顧客の購買行動や嗜好を深く理解し、より効果的なマーケティング活動を展開することが可能となります。

主成分分析

調査データの分析方法の4つ目は、主成分分析です。

主成分分析は、多くの変数からデータの主要な特徴をとらえるための統計的手法です。例として、食品に関するアンケートにおいて「うまみ」「香り」「食感」「のどごし」といった多数の評価項目が存在する際、これらの項目をまとめて「総合力」というような一つの指標に要約できます。

膨大なデータを扱う際にも、主成分分析を利用することで、そのデータの基本的な動きやパターンをシンプルな形で表現することが可能です。これにより、データの解釈や意思決定が迅速かつ効率的に行えるようになります。

決定木分析

調査データの分析方法の5つ目は、決定木分析です。

決定木分析は、結果を導く要因となる説明変数を明確にし、それを樹木のような構造で視覚的に表現する手法で、ディシジョン・ツリー分析とも称されます。

この分析を利用して特定の商品の購入者の特徴を性別や年齢、ライフスタイルなどの属性で分類できます。また、非購入者に対しても決定木分析を行うことで、購入・非購入にかかわる要因を把握することが可能となります。

自由記述の調査データの分析

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ここでは、自由記述の調査データの分析について解説します。

    • 数値による回答分析
    • テキストによる回答分析

それでは、1つずつ解説します。

数値による回答分析

自由記述の中で数値による回答を得られた場合、そのデータには様々な統計的手法を適用することが可能です。

例えば、平均値は、回答された数値の合計を回答数で割ったものであり、全体の中心的な傾向を示します。中央値は、数値を昇順または降順に並べた時の中央の値で、データの中心を示す指標として利用されます。最小値と最大値は、それぞれ回答された数値の中で最も小さい値と最も大きい値を示し、データの範囲を理解するのに役立ちます。

その他、標準偏差は、データの散らばり具合を示す指標です。これにより、回答者間の意見のバラツキや一貫性を評価できます。

これらの統計的指標を適切に利用することで、自由記述の数値回答の特性や傾向、バラツキの度合いなどを詳細に分析でき、より精度の高いデータ解釈や意思決定をサポートします。特に、大量の自由記述データを効率的に分析する際に、これらの指標は有用です。

テキストによる回答分析

自由記述の調査データの分析の2つ目は、テキストによる回答分析です。

テキストによる自由記述回答は、質的な情報を得るための有効な手段ですが、その内容を系統的に分析するのは一筋縄ではいきません。そこで役立つのが「アフターコーディング」と「テキストマイニング」です。

「アフターコーディング」は、自由記述の回答を特定のカテゴリーやテーマに分類する手法です。まず、回答内容の傾向や頻出するキーワードを把握し、それに基づいてコード(カテゴリー)を設定します。次に、各回答をそのコードに従って分類することで、テキストデータを定量的に解析する土台を作ります。

一方、「テキストマイニング」は、大量のテキストデータから有用な情報や知識を抽出するための技術です。自然言語処理技術を利用し、キーワードの出現頻度や関連性、文脈などを分析します。これにより、隠れたトピックや関連するキーワード、感情の傾向などを探ることができます。

これらの手法を組み合わせることで、自由記述のテキストから深い洞察や知見を得ることが可能になり、より質の高い分析が行えます。

まとめ

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本記事では、調査データの収集方法・分析方法を中心に解説してきました。市場調査とマーケティングリサーチは、今日の多様なニーズに対応するために必要なものです。市場の細分化が進む現代、一律の手法では顧客の真のニーズをつかむことは難しく、適切な調査方法の選択が求められます。

なお、インキュデータは調査データの設計から分析支援などDX推進サポートも行っています。何か調査データの設計・分析でお困りごとがあれば、是非一度お問い合わせください。

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