データ分析の代表的な目的は?目的を明確化すべき理由も解説 -
データ分析の目的は、蓄積されたデータから示唆を抽出し、迅速な意思決定や課題解決、PDCAサイクルの精度向上を実現することです。分析自体を目的化せず、事前に「何を解決したいか」という目的を明確にすることで、ビジネス成果に直結する知見を得られます。 本記事では、インキュデータの知見に基づき、バスケット分析や回帰分析など10種の代表的な手法と、目的の明確化から実際の分析に至るまでの4つの手順を詳しく解説します。データドリブンな組織への変革を目指す方は、ぜひ参考にしてください。
データ分析の代表的な目的を解説

ここでは、データ分析の代表的な目的として、以下の3つを解説します。
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- 事実に基づく意思決定
- PDCAの精度向上
- 素早い問題解決
表1. データ分析の代表的な目的
| 目的 | 内容と期待される効果 |
|---|---|
| 事実に基づく意思決定 | 客観的なデータから問題点や原因を把握。主観を排除し、確固たる根拠に基づいた的確な意思決定を支援する。 |
| PDCAの精度向上 | 仮説設定と施策実行後の振り返りを正確に実施。成功・失敗要因を明確にすることで、施策の再現性を高める。 |
| 素早い問題解決 | 数値に基づく具体的な課題特定により、効果的な仮説を策定。迅速なアプローチで問題解消までの時間を短縮する。 |
それでは、1つずつ解説します。
事実に基づく意思決定
事実に基づいたデータを分析することで、物事の問題点を把握し、その原因も推測して改善につなげられます。データから客観的な事実を明らかにできれば、より事実に基づいた根拠をもって、意思決定を行えるでしょう。
PDCAの精度向上
データ分析により、PDCAサイクルの精度向上が期待できます。PDCAサイクルでは、仮説を設定の上で施策を実行し、実行後に振り返って改善していきます。その仮説設定を正確に行うことに加え、実行後に結果を把握・分析するためにもデータ分析が欠かせません。このように、データ分析により、より精度よくPDCAサイクルを回せれば、施策の改善に役立てられます。また、成功要因や失敗要因も明確にできるので、施策の再現性を高めるためにも有効です。
素早い問題解決
データ分析結果を利用することで、素早く問題に対処できます。なぜなら、データによって具体的な課題を明らかにし、客観的な数値等を基に仮説を策定することで仮説の精度が向上します。また、分析結果の評価も、数値などの比較対象や確認すべき要件が明確であるため正確に行うことができます。そのため、より効果的な課題へのアプローチが期待できます。
データ分析の目的を明確化すべき理由

ここでは、データ分析の目的を明確化すべき理由として、以下の2つを解説します。
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- 分析結果の活用を促進
- チームの強みを活かした分析
それでは、1つずつ解説します。
分析結果の活用を促進
データ分析においては、目的の明確化と結果の活用が欠かせません。データ分析で得られた知見を効果的に活用することで、ビジネスでもよい結果を期待できるでしょう。ただし、データ分析自体はあくまでも手段であり目的ではありません。そのため、あらかじめデータ分析目的を明確にし、目的に応じた結果を得てそれを活用していきましょう。大切なことは、データ分析結果は、サービス改善や問題点の特定など、何らかのアクションを起こすために活用するものだという目的意識をもつことです。
チームの強みを活かした分析
データ分析の目的を明確にし、チームのメンバーに共有することで、各メンバーの専門知識を生かして取得データの絞り込みや分析手法、注目ポイントを決定できます。これにより、各メンバーが自らの得意分野や専門性を最大限に活かして、組織全体でデータ分析に取り組めるでしょう。情報システム部門とマーケティング部門など組織内の多様なスキルや知識を効果的に組み合わせられるので、より高品質な分析結果を得られるはずです。
データ分析の代表的な手法は?目的に応じ使い分け

ここでは、データ分析の代表的な手法として、以下の10種類について解説します。
表2. 代表的なデータ分析手法10選
| 分析手法 | 内容と期待される効果 |
|---|---|
| バスケット分析 | 「どの商品が同時に買われやすいか」を分析。レコメンド機能や店舗の陳列改善、セット販売の戦略立案に活用する。 |
| アソシエーション分析 | 膨大なデータから項目間の隠れた関連性を抽出。バスケット分析を内包し、アップセルやクロスセルの成功率向上に寄与する。 |
| クロス集計 | 複数の項目(男女×満足度など)を掛け合わせ、データのトレンドを可視化。Excel等で手軽に実行でき、市場の基本傾向の把握に最適。 |
| 因子分析 | 多様な変数に共通する「背景因子」を特定。消費者の潜在的な心理や行動の動機を明らかにし、ブランディング戦略に役立てる。 |
| クラスター分析 | 似た特性を持つ個体をグループ化。市場のセグメンテーション(顧客層の分類)や、自社ブランドの立ち位置の明確化に有効。 |
| 決定木分析 | 樹形図を用いて分岐条件を可視化。ターゲット層の特定や購買に至る経路を直感的に把握でき、迅速な意思決定を支援する。 |
| ABC分析 | 重要度(売上高など)に基づきA・B・Cの3層に分類。重視すべき商品や顧客を明確にし、リソース配分の最適化を実現する。 |
| ロジスティック回帰分析 | 特定の事象(購入するか否か等)の発生確率を予測。キャンペーンの反応率予測やリスク管理に用いられ、成果の最大化を図る。 |
| 主成分分析 | 多数の変数を少数の「主成分」に要約。膨大なデータの要点を絞り込み、情報の理解を容易にすることで迅速な分析を可能にする。 |
| グレイモデル | 不完全なデータから事象を予測。情報の不足がある環境下での予測手法として、主にリスク管理の分野で他の手法と組み合わせて活用される。 |
それでは、1つずつ解説します。
バスケット分析
バスケット分析は、顧客がどの商品を同時に買う傾向にあるか調査する手法です。例えば、商品Aと商品Bが同時に購入されることが多ければ、A商品とB商品を店内で隣同士に陳列することで、消費者の購買意欲を刺激できるでしょう。また、ECサイトでは顧客が商品Aをカートに追加したユーザに、レコメンドとして商品Bを紹介することも考えられます。
アソシエーション分析
アソシエーション分析は、さまざまなデータから関係性を探し出す手法です。前述のバスケット分析もアソシエーション分析の1つといえ、マーケティング戦略にも応用が効きます。例えば、アソシエーション分析の結果から、アップセル(より良い商品の推薦)やクロスセル(関連商品の提案)の成功率が高まるでしょう。また、商品の陳列やECサイトのデザイン決定にも有効です。
クロス集計
クロス集計は、得られたデータを特定のカテゴリや質問項目で分類する方法です。例えば、縦軸に「男女」の区別、横軸に「満足度」を置き、それぞれの組み合わせでの回答数を数え上げます。クロス集計はシンプルで、Excelなどで簡単に取り組める上に、様々な属性や質問項目を組み合わせてデータのトレンドやパターンを可視化できます。
因子分析
因子分析は、多くの変数データから共通する要因や背景の原因を探求する手法です。さまざまな事象に共通の要因を明らかにし、消費者心理を深く知ることで、ターゲットに合ったアプローチを展開できます。
クラスター分析
クラスター分析は、データを「魚介類が好き」、「運動不足を感じている」などの特性に基づいてまとめ上げる方法です。クラスター分析により、市場のセグメンテーションや自社ブランドの市場における立ち位置を明らかにできます。また、消費者の好みや趣味に応じて、戦略を立案したい場合にも有効です。
決定木分析
決定木分析は、クロス集計結果を繰り返し、分析結果を木の形で視覚的に示す手法です。これにより分析結果を直感的に理解し、例えばマーケティングでは高い満足度を持つ顧客の特徴や、商品購入に繋がりやすいターゲット層を特定できます。また、多くの選択肢から最適な答えを導き出せることや、ほかの分析方法と組み合わせてより深い分析を行いやすいこともメリットです。
ABC分析
ABC分析は、商品や顧客、売り上げなどをA・B・Cの3つのカテゴリーに分類して分析する手法です。例えば、月間売り上げが100万円を超える顧客をA、100万円以下で50万円以上の顧客をB、さらに50万円を下回る顧客をCとして区分します。ABC分析により、重視すべき商品・サービスが明らかになる上に、商品・サービスごとの戦略立案にも有効です。
ロジスティック回帰分析
ロジスティック回帰分析は、ある質問への答えを二つの選択肢に分けて、事象の発生確率を予測する手法です。例えば、ロジスティック回帰分析による予測結果に基づきマーケティング戦略を見直し、プロモーション活動改善に役立てることが考えられます。
主成分分析
主成分分析は、多数存在するデータから、要点を絞っていくつかのデータ(主成分)にまとめる手法です。膨大なデータを簡潔にまとめることで、情報の理解や分析が容易になります。迅速な分析と意思決定に役立ちますが、分析結果の解釈は分析者の見解に大きく影響されることに留意しましょう。
グレイモデル
グレイモデルは、明確な情報(白)と、不足している情報(黒)の中間となる不完全なデータ(グレイ)を予測するための方法です。特にリスク管理の分野で、グレイモデルが採用されています。ただ、単独でグレイモデルを使用することは少なく、ほかの分析手法と組み合わせて活用されることが一般的です。
データ分析で目的を明確化した後どうすればよい?

ここでは、目的を明確化した後データ分析を進める流れとして、以下の4つを解説します。
表3. 目的明確化後のデータ分析フロー
| ステップ | 内容と期待される効果 |
|---|---|
| 1. 仮説の洗い出し | 分析の拠点となる仮説を構築。重要度の高いものを優先的に検証することで、経験が少ない場合でも的確に分析の方向性を定める。 |
| 2. 分析方法の決定 | 検証したい仮説に基づき、最適な分析手法を選定。手法が決定することで、必要なデータの種類や情報源(収集先)が明確化される。 |
| 3. データ収集 | 採用した分析手法に合わせ、必要なデータを収集。データの品質と正確性を確保し、分析の土台となる確実な蓄積を行う。 |
| 4. 実際にデータ分析 | 収集したデータを基に解析を実行。重要なポイントを理解して分析を重ねることで、分析の効率と精度を一層向上させ、成果へ繋げる。 |
それでは、1つずつ解説します。
仮説の洗い出し
データ分析を行う前に、検証を行う拠り所となる仮説を構築しましょう。ただ、仮説を一度に多数設定しても、全て検証することが困難なこともあるかもしれません。その場合は、仮説の中から特に重要なものをピックアップし、その仮説を優先的に検証することがおすすめです。過去のデータや直感から、仮説の優先順位を立てる自信がなければ、データ分析を進める過程で最も重要である仮説を設定しましょう。これにより、経験が不足している場合でも、的確に方向性を定めることが可能です。
分析方法の決定
検証したい仮説から、最適な分析方法を決定します。分析方法が決定すれば、自ずと必要なデータが明らかになるため、データを収集するための情報源も決定できるはずです。
データ収集
採用した分析手法から、必要となるデータを収集しましょう。分析手法により、必要になるデータの種類もその収集方法もさまざまです。データの品質・正確性を確保して、確実にデータを蓄積していきましょう。
実際にデータ分析
収集してきたデータを基に、実際に分析を行います。重要なポイントを理解すれば、データ分析が初めてでも十分な成果を挙げられますが、経験を積むと一層分析効率や精度が向上します。
データ分析に関するよくある質問(FAQ)
Q1: データ分析の目的を明確にしないとどのようなリスクがありますか?
A1: 「手段の目的化」が起こり、ビジネスに活用できない分析結果に終わるリスクがあります。 目的が曖昧だと、不必要なデータの収集に時間を費やしたり、現場の意思決定に役立たないレポートが量産されたりするため、事前のゴール設定が不可欠です。
Q2: 初心者が最初に取り組むべきデータ分析手法は何ですか?
A2: まずは「クロス集計」から取り組むことを推奨します。属性(男女等)と回答内容(満足度等)を掛け合わせるだけでデータのトレンドを可視化でき、Excel等で手軽に実施できるため、仮説検証の第一歩として非常に有効です。
Q3: データ分析の精度を向上させるポイントは何ですか?
A3: 最も重要なのは「質の高いデータの確保」と「現場視点に基づいた仮説立案」です。どんなに優れた分析手法を用いても、基となるデータが不正確であれば正しい結果は得られません。また、現場の課題感に基づいた仮説を立てることで、実効性のある分析が可能になります。
まとめ

本記事では、データ分析において目的を明確にすべき理由や、代表的な手法、分析のプロセスについて解説しました。データ分析を意思決定や問題解決に直結させるには、目的から逆算した緻密な設計が不可欠です。
しかし、自社の課題に対して「どの手法が最適か」「どうすればビジネス成果に繋がるか」を判断し、実行に移すのは容易ではありません。データ活用の戦略立案から実装までをトータルで支援するインキュデータは、お客様のビジネスに深く伴走し、チームの強みを引き出すデータ分析体制の構築をサポートします。
データ活用を「単なる集計」で終わらせず、確実な事業成長の原動力に変えたいとお考えの方は、ぜひ一度インキュデータへご相談ください。

















