INCUDATA Magazine_000577_データマートとは?種類・導入のメリット・デメリットを解説
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データマートとは?種類・導入のメリット・デメリットを解説 -

目次

データマートは、データ統合基盤であるデータウェアハウス(DWH)から特定の部門や目的に必要なデータのみを抽出・加工して構築された専用データベースです。 本記事では、DWHとの違い「従属型・独立型・ハイブリッド型」の3つの種類、導入メリット・デメリットを詳しく解説します。インキュデータが推奨する、分析精度とスピードを両立させ、ビジネスの意思決定を加速させるためのデータ基盤構築の要点を網羅しています。

データマートとは

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ここでは、以下の2つの視点から、データマートとは何かについて解説していきます。

    • データマートとは
    • データウェアハウスとの違い

それでは、1つずつ解説します。

データマートとは

データマートとは、データ検証や分析といった特定の目的に対応するために構築されたデータベースのことです。一般的に、データ分析には組織内の情報が統合されたデータウェアハウスが利用され、データマートは特定の利用目的に必要なデータをデータウェアハウスから別のテーブルとして抽出・加工して構築します。そのため、データマートは小規模なデータウェアハウスと見なすことも可能です。

データウェアハウスとの違い

データウェアハウスとデータマートは、どちらも企業がデータを保存・分析・利用するためのデータベースですが、対象となる範囲と目的に違いがあります。

表1. DWHとデータマートの比較

比較項目 データウェアハウス(DWH) データマート
データの範囲 企業全体。複数のソースから統合された大規模なデータベース。 特定の部門・目的。必要なデータのみを抽出した小規模なデータベース。
利用目的 全社的な意思決定、データの長期保管と統合管理。 特定業務の分析、迅速な意思決定、レポート作成の高速化。
主な特長 データ構造の一貫性を重視。抽出・加工に時間がかかる場合がある。 分析効率を優先し、データの並び替えや追加などのカスタマイズが容易。

データウェアハウスは、データを保管しておくデータベースのことで、企業全体のデータを集約し、統合・管理するための大規模なデータベースのことです。複数のデータソースからデータを抽出・統合・加工して、企業全体の意思決定や分析に役立てることができます。

一方、データマートは、特定の業務や部門に特化したデータをデータウェアハウスから抽出したデータベースです。また、データウェアハウスには見られないデータマートの特長として、データ全体の構造の並び替えや削除、追加など、分析の効率化が可能であることが挙げられます。

特定の目的に沿ってデータが整備されているため、元のデータウェアハウスを使ったケースと比較すると、分析速度の向上が期待できます。

データマートの種類

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ここでは、データマートの種類として、以下の3つを解説します。

    • 従属型データマート
    • 独立型データマート
    • ハイブリット型データマート

表2. 構築モデル別の種類と特徴

構築モデル 概要と運用上のメリット・デメリット
従属型 DWHからデータを抽出する形式。データの信頼性と一貫性が高いが、DWHの仕様変更に伴うメンテナンス負荷が生じる。
独立型 DWHを介さず直接ソースにアクセスする形式。独立した運用が可能だが、複数構築するとデータの重複や矛盾が起きやすい。
ハイブリッド型 DWHと外部ソースを組み合わせる形式。極めて柔軟な分析が可能になる一方、データ更新プロセスが複雑になりやすい。

それでは、1つずつ解説します。

従属型データマート

データマートの種類の1つ目は、従属型データマートです。従属型データマートとは、企業全体のデータウェアハウスからデータを抽出し、特定の業務や部門に特化したデータマートを作成する際に、データウェアハウスに依存する形で構築されるデータマートのことです。

データウェアハウスのデータをそのまま利用する従属型データマートは、データの信頼性が高く、構築期間が短くて済むのがメリットです。一方で、データウェアハウスの変更に追随する必要があるため、メンテナンスの負荷が大きくなるというデメリットもあります。

独立型データマート

データマートの種類の2つ目は、独立型データマートです。独立型データマートとは、企業全体のデータウェアハウスに依存せず、特定の業務や部門に特化したデータマートを独立したスタンドアロンで構築したものです。データウェアハウスを介することなく、情報源に直接アクセスします。ETL処理も独自で行います。

独立型データマートは、元データのあるデータウェアハウスの変更に追随する必要がないため、メンテナンスの負荷が軽減されるのがメリットです。ただし、データの信頼性や一貫性を確保するためには、データウェアハウスとデータの整合性を確認する必要があります。

また、独立型データマートを複数構築する場合には、データの重複や矛盾が生じる可能性があるため、注意が必要です。

ハイブリット型データマート

データマートの種類の3つ目は、ハイブリット型データマートです。ハイブリッド型データマートは、その名の通り独立型データマートと従属型データマートの両方の特性を併せ持つデータマートのことです。

ハイブリッド型データマートとは、従属型と独立型の両方のメリットを取り入れ、一部のデータをデータウェアハウスから取得し、他のデータを直接オリジナルのソースから取得します。

従属型や独立型のデータマートと比べて、よりフレキシブルなデータ分析が行えるという特徴があります。しかし、元となるデータウェアハウスからの影響を受けやすく、分析するたびに外部データを更新する必要があることも理解しておきたいものです。

データマートを活用するメリット

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データマートを活用するメリットには、以下の3つがあります。

    • 実装コストが低減できる
    • データの取り扱いが容易で効率化が図れる
    • 特定部門のデータ分析が行える

表3. データマート導入のメリット

メリット 内容と期待される効果
実装コストの低減 対象範囲を絞るため、全社DWH構築に比べ短期間・低予算で導入可能。特定のアクセス制御によりガバナンスも強化される。
データ編集の柔軟性 元データを汚す懸念なく、集計単位の変更(日次→月次等)や複雑な加工が可能。万が一の際もDWHから再取得でき、リスクが低い。
現場の分析スピード向上 部門に最適化されたデータセットにより、SQL等の簡易な操作で高速抽出が可能。エンジニア依存からの脱却と迅速な施策実行を支援する。

それでは、1つずつ解説します。

実装コストが低減できる

データマートを活用するメリットの1つ目は、実装に要する時間と費用を低減できることです。データマートは企業内の特定の部門やプロジェクトで必要なデータだけを集め、整理、格納する小型のデータウェアハウスです。

そのため、大規模なデータウェアハウスを構築するときのように、設計や実装に長い時間と大きなコストを費やす必要はありません。さらに、データマートは特定のユーザグループのニーズに合わせてカスタマイズでき、データにアクセスしやすいのも魅力です。

また、データマートの活用により、データのセキュリティとガバナンスを強化することも可能です。各データマートは特定のデータセットに対してアクセス制御ができるため、情報が不適切に利用されづらく、規制遵守が確立しやすくなります。

このように、データマートを活用することで、実装時間と費用の削減ができるでしょう。

データの取り扱いが容易で効率化が図れる

データマートを活用するメリットの2つ目は、データの取り扱いが容易で効率化が図れることです。通常、データ分析をする前準備として、分析しやすいようにデータを編集しておきます。

そこで、データウェアハウスを基にデータ分析を行うときは、重要な元データを編集しないよう注意しなければなりません。一方、データマートを用いれば、元データへの影響を気にせずにデータの編集が可能です。

また、単にデータを並べ替えるだけでなく、日次集計データを月次集計データへ変換するといった複雑な操作も簡単に行えます。万が一、不注意でデータを損失してしまった場合でも、元のデータから再びデータを取得することも可能です。

データマートを活用することで繰り返しデータを加工でき、データの扱いが容易になるといえます。

特定部門のデータ分析が行える

データマートを活用するメリットの3つ目は、特定部門のデータ分析が行えることです。データウェアハウスには大量のデータが格納されているため、詳細な分析には向きません。

一方、データマートは大量のデータの中から必要な情報のみを取り出して分析しやすいのが特徴です。「総務部が月次の予実を管理する」、「営業部が週次データを可視化する」など、特定の部署・部門別のデータ解析がより容易に行えます。

データマートへのデータの取り出しは簡単なSQLで行えるため、企業内のデータエンジニアに依存せずにデータを活用できます。各部署・部門ごとにデータの解析結果に基づいた高精度な決定ができるようになるため、納得感を持って施策を前に進めることができるでしょう。

データマートを活用するデメリット

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データマートを活用するデメリットには、以下の3つがあります。

    • 複数構築したときに運用管理が煩雑になる
    • 新たな視点を持ちづらい

表4. 導入時のデメリットと対策

デメリット 内容と運用のポイント
運用管理の複雑化 乱立するとデータの一貫性が失われ、ストレージコストも増大する。全社的な運用管理戦略を立て、統合的な視点を維持することが不可欠。
分析視点の固定化 特定データのみに注視するため、分野横断的な洞察が得にくい。必要に応じて抽出範囲を広げる、または外部分析サポートの活用も有効な手段となる。

それでは、1つずつ解説します。

複数構築したときに運用管理が煩雑になる

データマートを活用するデメリットの1つ目は、複数構築したときに運用管理が煩雑になることです。データマートは一部門または特定の目的に対して特化したデータを提供するために作られますが、多数のデータマートを構築すると管理が複雑になるため注意が必要です。

各データマートは、異なる部門や目的のために設計されているため、それぞれが独自のデータ形式・構造・更新スケジュールを持つ可能性があります。そのため、全体の運用管理が煩雑になるだけでなく、データの一貫性と整合性も確保しづらくなります。

また、データマート間でのデータ共有や統合が困難になることも珍しくありません。データマートの中にデータが重複保存され、更新プロセスが複雑となる可能性もあります。結果的に、データストレージを無駄に消費し、運用コストが増加してしまいます。

複数のデータマートを構築すると、管理の煩雑さ、データの一貫性の問題、ストレージコストの増加などの課題を引き起こす可能性があるため、適切に運用管理の戦略を立てる必要があるでしょう。

新たな視点を持ちづらい

データマートを活用するデメリットの2つ目は、新たな視点を持ちづらいことです。データマートを構築するときには、特定の部門やニーズに焦点を当て、必要なデータを集約・整理しているため、その部門での意思決定やビジネス活動が効率的に行えます。

一方で、その特化性により新たな視点や洞察を見つけ出しにくいというデメリットもあります。アメリカの大手小売業者ウォルマートが売上分析を実施した際、ビールとおむつの売上げが関連していることを発見し、ビールとおむつを店内で隣接して販売することで売上を向上させたという事例はよく知られています。もし、ビールだけのデータ、おむつだけのデータに着目していたとすれば、この洞察は得られなかったでしょう。

データマートの活用でも同じことが言えます。分析に必要なデータを選択し取り出したつもりでも、特定のデータに限定して見ていると、期待する分析結果が得られない可能性があります。

そのため、「データの抽出範囲を少し広げてみる」、「外部のデータソースと組み合わせたハイブリッド型のデータマートを試してみる」など、さまざまなアプローチを検討する必要があるでしょう。

特に、ハイブリッド型のデータマートを構築・運用するには、単純なSQLだけでなく、データエンジニアリングの知識が必要となります。常時複雑な分析を行うわけではない場合は、分析サポートを外注するのも1つの方法です。

よくある質問(FAQ)

Q1: データマートとデータウェアハウスの決定的な違いは何ですか?

A1: 最大の違いは「データの範囲」と「利用目的」です。データウェアハウスは企業全体の全データを統合・蓄積するのに対し、データマートはその中から特定の部署やプロジェクトに必要なデータだけを抽出し、分析しやすい形に加工したものです。

Q2: データマートを導入する最大のメリットは何ですか?

A2: 分析の高速化とコスト抑制です。必要なデータが絞り込まれているため、大規模なデータベースを検索するよりもクエリの実行速度が向上し、専門知識が少ない部門担当者でも容易にデータを扱えるようになります。

Q3: データマートの種類にはどのようなものがありますか?

A3: 主に、DWHからデータを抽出する「従属型」、直接ソースから取得する「独立型」、両方を組み合わせた「ハイブリッド型」の3種類があります。自社のITインフラと運用コストに合わせて選択する必要があります。

まとめ

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データマートとは、特定の主題や部門に特化したデータの集積場所として、データ管理と活用を効率化するデータベースです。データマートの導入は、データを効率的に管理し、効果的に活用するための重要な手段の1つといえます。しかし、データマートの導入にあたっては、目的に合った種類のデータマートを選択することが重要です。

また、導入後もデータの品質や一貫性を維持し、データマートを適切に管理していく必要があります。インキュデータは企業のデータ統合と活用に専門性を持つデータコンサルティングファームです。ぜひ一度ご相談ください。

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