INCUDATA Magazine_000360_LTVを向上させる五つの施策

LTVを向上させる五つの施策 - LTV向上のメリットや有効なツールも紹介

LTVLife Time Value)は、顧客がもたらす総収益を示す重要な指標です。しかし、「その意味は理解しているが、思うように増やせていない」と悩んでいる方もいるでしょう。

そこでこの記事では、LTVを向上させるための施策をつ取り上げ、詳しく解説します。LTVの向上は、企業の継続的な成長につながるため、自社にとって有効な施策を確認し、積極的に取り組みましょう。また、LTVがもたらす収益以外のメリットや向上に役立つツールも紹介しますので、参考にしてください。

なぜLTVが重視されるのか?

INCUDATA Magazine_000361_LTV向上_画像02

LTVを計測することにより、都度の買い物を分析するだけでは分からない顧客行動が明らかになります。例えば、1回だけ大きな買い物をするよりも、少額で継続的に買い物をする顧客のほうが企業に大きな収益をもたらす可能性があるといったことです。

ここでは、計測や分析をする前提として知っておくべき、LTVの意味や計算方法について説明します。

LTVの意味

LTVLife Time Value)は、日本語では顧客生涯価値と訳され、「取引期間(最初の購買~最後の購買)に1人(1社)の顧客から得られる総収益」を指すのが一般的です。例えば、50万円の商品を1回だけ購入した顧客(総購入額50万円)よりも、毎月2万円ずつ3年にわたって購入した顧客(総購入額72万円)のほうがLTVは大きくなります。

このことは、スポット的に大きな買い物をする顧客よりも、1回は少額でも長期にわたり継続的に買い物をしてくれる顧客のほうが、会社により大きな収益をもたらす可能性があることを意味しています。この点がLTVの重視される理由なのです。

複数あるLTVの計算方法

LTVを算出するには、顧客ごとの購入履歴に基づくのが最も正確ですが、現実的には難しいため、顧客全体のLTVを計算して分析するのが一般的です。LTVには、以下のような複数の計算式があります。

① LTV=平均購買単価×購買頻度×継続購買期間

② LTV=平均購買単価×購買頻度×継続購買期間-(新規顧客獲得コスト+顧客維持コスト)

③ LTV=月額(年額)料金×契約期間

④ LTV=(平均購入単価)×(平均購入回数)

基本となるのはの計算式で、はそれから顧客に関わるコストを引いたものです。はサブスクリプションなど定額制サービスでの計算に使われます。は、「購買頻度」「継続購買期間」を収集していない場合に使われる代替的な計算式です。

いずれにしても、自社で測定可能な指標を使い、かつ分析することで事業にとって意味のある計算方法を使うのがポイントです。

LTV向上がもたらすメリット

INCUDATA Magazine_000361_LTV向上_画像03

LTVの向上は、収益を拡大するために行うものですが、企業にとってのメリットはそれだけではありません。

ここではその他のメリットのうち、「営業コストの効率化」「収益の安定化」「顧客との関係強化」「企業・ブランド価値の向上」を取り上げ、詳しく解説します。

営業コストを効率的に使える

マーケティングの世界には、既存顧客維持と新規顧客獲得にかかるコストの違いを表す「15の法則」があります。これは、新規顧客獲得コストは既存顧客維持コストの5倍かかるという意味です。したがって、リピートを増やしLTVを向上させることは、収益を増やしつつ営業コストを大幅に削減することにつながります。

単にコストを削減するだけでなく、余った費用を効果の高い施策に重点的に投入するなど、より資金を効率的に使えるようになることもメリットといえるでしょう。

収益を安定化させられる

新規顧客は、特定の商品・サービスだけに関心を持っていることが少なくありません。このため、新規顧客中心の営業は収益の変動が大きくなりがちです。これに対して、リピーターとなっている既存顧客は、定期的な購入が期待できます。少ないコストで売り上げを拡大できれば、収益は安定化します。

経営の安定化を目指す上では、LTV向上のためにリピーターを増やすことが不可欠といえるでしょう。

顧客との関係を強化できる

LTVが大きい優良顧客であれば、取引履歴をはじめ数多くの顧客データが蓄積しています。年齢や性別といった基礎データだけでなく、「どのようなタイミングで購入しているか」「何に魅力を感じて自社製品を購入しているのか」「どんな使い方をしているのか」といった部分まで掘り下げて分析すれば、より効果的な働きかけができ、関係性を強化できるでしょう。

また、優良顧客の分析結果に基づいて新規顧客獲得へアプローチすることは、効率的な新規顧客との関係構築につながります。

企業やブランドの価値が向上する

LTVを向上させるには、的確な働きかけに加えて、商品・サービスの品質を高めることが欠かせません。こうした取り組みにより顧客満足度がアップすれば信頼や愛着が高まり、企業やブランドの価値向上につながります。

企業やブランドに信頼や愛着を持った顧客は、リピーターとして安定的に購入してくれるだけでなく、口コミや紹介で新規顧客の獲得にもプラスの効果をもたらすことが少なくありません。

LTVを向上させる五つの施策

INCUDATA Magazine_000361_LTV向上_画像04

LTVを向上させる方法にはさまざまなものがありますが、ここでは「購入単価の引き上げ」など五つの施策を紹介します。

施策の中心となるのは、さまざまな形での顧客一人一人に向けたきめ細かな働きかけです。的確な働きかけをするためには、プロフィールや購入履歴など顧客データの分析に基づくアプローチが欠かせません。

購入単価を引き上げる

購入単価を引き上げるには、「アップセル」や「クロスセル」といった販売施策を活用するのが効果的です。

アップセルとは、よりグレードの高い商材の購入・利用を促すことです。金額に見合う、あるいはそれ以上の魅力・価値があることを顧客に納得させられれば、購入単価の引き上げにつながります。

これに対してクロスセルは、関連商品も併せて購入することを勧めるものです。あらかじめ複数の商品を組み合わせたセット販売や飲食店のセットメニューなどもクロスセルに該当します。

すでにリピーターとなっている顧客であれば、アップセルとクロスセルの組み合わせも有効でしょう。

購入頻度を高める

顧客の購入頻度を高めることもLTV向上につながります。そのためには、「商材やブランドの印象度を高める」「顧客接点を増やす」「タイミングを合わせた訴求をする」といった工夫が大切です。

例えば、インパクトのある商品パッケージやサービスサイトのデザインは、顧客の印象に残りやすくなります。それにより商品・サービスを想起する回数が増えれば、より頻繁に購入することが期待できます。

また、顧客接点を増やしたり、タイミングを合わせた訴求をしたりするには、メールマガジンやアプリによる通知などを活用するのが効果的です。

長期購入を促す

長期購入を促すポイントは、商材や業態の特性によって異なります。例えば、日用品、消耗品、日常的に使う食品・飲料といった商材は、買い忘れ防止の訴求や無料配送などのインセンティブによって定期購入へ誘導するのが効果的です。

また、飲食店や美容院などの来店型のビジネスではポイントサービスやクーポンの配布、サブスクリプションなどの契約型サービスでは長期契約による割引といった施策が有効でしょう。

いずれの施策でも、アフターフォローやサポートにより顧客接点を継続させることが重要です。その上で、顧客の誕生日や契約期間満了といった効果的なタイミングでメール配信やアプリ通知などを使った働きかけをするとよいでしょう。

コストを引き下げ、利益率を高める

さまざまな営業施策を行うことで購入単価や頻度が増えたり、取引期間が長くなったりしても、顧客の獲得・維持にかかるコストが増えたのでは、LTVの向上に結びつきません。コストを引き下げるには、複数の施策をテストして効果測定を行い、実施する施策に優先順位をつけるといったやり方が有効です。

CRM SFAなどの営業ツールを導入して、日報作成や顧客情報の分析といった施策を実施するためのベースとなる作業を効率化することも、コスト削減につながります。

また、リピーターによる売り上げが安定的に増加すれば、新規顧客獲得に充てていた人員・予算を別の用途に振り向けたり、削減したりすることが可能になります。販売数量の拡大を踏まえて、資材などの調達コストを引き下げることも検討しましょう。

顧客のロイヤリティを高める

継続的に取引を行い、顧客満足度を高めた顧客は、企業やブランドにロイヤリティを持つようになります。ロイヤリティを持った顧客は自社の商品・サービスを優先的に選択する傾向が高いほか、新規顧客の獲得につながる口コミや紹介など、会社に大きなメリットをもたらします。

ロイヤリティの高い顧客を増やすことは、LTV向上の上で重要なポイントです。そのためには、顧客データに基づくきめ細かな働きかけや新しい製品・サービスの先行利用といった特別な顧客体験の提供なども有効です。

LTVの向上に有効なツール

CRMMAなどのツールを導入することにより、顧客情報の管理や情報発信を効率化できます。ツールや効率化によって浮いたリソースを顧客との関係強化に活用すれば、より効果的にLTV向上の施策を実行できるでしょう。ここでは、主なツールの特徴や機能を解説します。

・CRM

CRMCustomer Relationship Management)は、複数の部署が収集した顧客情報を一元管理したり、顧客とのコミュニケーションを設計・配信するツールです。これを活用することにより、より緻密な顧客分析が行え、顧客一人一人に向けたきめ細かなアプローチが可能になります。

・MA

MAMarketing Automation)は、マーケティング活動を自動化するものです。省力化によるコスト削減だけでなく、顧客に適切なタイミングでメール送信するといったアクションを設定できることが大きなメリットです。

・チャットボット

チャットボットは、コンピューターが自動応答するコミュニケーションツールです。顧客の問い合わせに対していつでも迅速かつ的確に対応し、必要な情報にスムーズにアクセスできるようにすれば、顧客満足度が向上します。

・SNS

SNSの企業アカウントを作ることにより、顧客と直接つながることが可能になります。SNSを活用して顧客に役立つ情報を適切に伝えられれば、信頼関係を構築することができ、広い認知や人気向上につながり、LTV向上に役立ちます。

LTV向上施策を実施する上での注意点

INCUDATA Magazine_000361_LTV向上_画像05

LTV向上施策に限ったことではありませんが、低いコストといってもあくまで相対的な比較の問題ですから、個々の施策を実施する際には常に費用対効果を念頭に置いておくことが必要です。

また、効果を検証して変化の予兆をつかみ先手を打つことや広い視野を持って全体のバランスを考えて取り組むことも、大切なポイントです。

費用対効果を考える

LTVが注目されるようになったのは、「15の法則」が示すように、既存顧客の維持は新規顧客の獲得と比べ、かかるコストが大幅に低いことが大きな理由です。そのため、LTV向上の施策を実施する際にも、費用対効果を十分に意識することが大切です。

費用対効果を高めるためには、現状を分析して自社におけるLTV向上の課題を把握することが欠かせません。特別な営業施策を実施しなくてもLTVを向上させられることもあるからです。

例えば、ECサイトのリピーターが増えない理由が、手入力の多さなど購入手続きの煩雑さであれば、そのUIを改善することである程度問題が解決する可能性は高いでしょう。

施策の効果を継続的に検証する

LTVを向上させるための取り組みは、継続的に行わなければ十分な成果を得られません。このため、定期的に施策の効果を検証することが必要です。

検証に当たっては、LTVだけでなくさまざまな指標の変化を計測します。市場環境や顧客構成などの変化も踏まえて、必要に応じて取り組む施策を切り替えるといったPDCAのサイクルを実行することが大切です。

新規顧客獲得と組み合わせる

LTVの向上は、効率的に収益を拡大するために有効な施策です。しかし、LTVの向上にばかりにリソースを投じて、新規顧客の獲得がおろそかになると、事業が先細りになる可能性が高いでしょう。あくまでも、企業全体の収益を拡大する戦略の一環としてLTV向上に取り組んでいることを忘れてはいけません。

顧客情報の分析に基づき、LTVの高い顧客と類似した属性の層をターゲットとするといった方法で、新規顧客獲得を効率化しつつ、獲得した顧客のLTV向上を図るといったアプローチが大切です。

データやツールを利活用したLTV向上施策はDXの一環

LTV向上施策において重要なポイントとなる、顧客一人一人に合わせた働きかけを的確かつ効率的に行うためには、顧客データの分析やさまざまな営業ツールの活用が不可欠です。

その取り組みはDXの一環といえ、ビジネスモデルの変革にもつながります。逆にいえば、LTVを正確に計測して実効性が高い向上施策を打っていくためには、デジタル活用のビジネスモデルに知見・ノウハウが求められます。

自社に十分なリソースがなければ、外部パートナーの活用を考えましょう。その場合には、LTV向上施策にとどまらず、全社的なDXへの取り組み・ビジネスモデルの変革までを視野に入れて、長期間にわたりサポートしてくれるかをパートナー選びの基準にすることをおすすめします。

CONTACT お問い合わせ

弊社のサービスに関するお問い合わせや、取材・メディア掲載についてはこちら。

弊社のプロダクト・サービスに関する資料、各種調査結果、ホワイトペーパーなどを無料公開。